A97
「補償」と「協力」と「援助」の違い

 9月6日の朝日新聞は一面トップ記事で、
「日朝、補償は経済協力」と言う見出しで、次のように報じていました。

 
「・・・日朝両国はまた、補償については財産請求権を放棄し、経済協力方式をとることを明らかにする」、「・・・『補償』の額については、正常化交渉の中で協議する」

 わが国の政府が「補償」ではないと明言している中で、なぜ、朝日新聞は「補償」と書くのでしょうか。表記が“補償”だったり、かっこ付きの“「補償」”だったりするのはどういう意味があるのでしょうか。朝日新聞の記事は勝手に「補償」と言う言葉を使っていながら、「誰の誰に対する何の補償」なのか、何も明らかにせず、大変無責任な記事だと思います。

 それから、「補償」に代わる「経済協力」方式と言っていますが、経済協力とは何でしょう。協力とは双方が負担を分かち合い、それによって得られる利益を分かち合うものだと思います。日朝間の「経済協力」において、北朝鮮はどのような負担をして、日本はどのような利益を得られるのでしょうか。日本だけが一方的に負担をし、北朝鮮だけが一方的に利益を得るのは「協力」ではありません。それは「援助」と呼ぶべきです。

 日頃、北朝鮮のことをいちいち「朝鮮民主主義人民共和国」と言い直しているくらい、言葉に正確を期しているのであれば、「補償」と「協力」と「援助」は、正確に使い分けてほしいものだと思います。

平成14年9月7日     ご意見・ご感想は こちらへ     トップへ戻る     目次へ