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企業叩きの異常さ

 9月30日、警察が日本ハムの子会社日本フードに対して強制捜査を開始したちょうどその日の夕刊各紙に、北海道のスーパー西友で大規模な「返金詐取」事件が発生したことが報じられていました。
 西友が牛肉を偽装して販売したことに対して、購入した消費者に代金の返金を申し出たところ、返金を求める人が殺到し、販売した1400万円のおよそ3.5倍の4900万円もの返金請求があったというものです。一部日本人のモラルの低下は嘆かわしいという他はありません。

 この「詐欺事件」は今後どのような展開を見せるのでしょうか。マスコミはどのように報じるのでしょうか。日本ハムの詐欺事件の容疑になっている金額は1000万円ですが、今回の西友の被害額はそれをはるかに上回る“大事件”です。
 西友が偽装した牛肉を販売したのが原因なのだから身から出た錆であるとか、レシートなしで返金するなどルーズな対応が原因なのだからむしろ西友の手落ちであるとかの批判があると思いますが、そういう言い方をするならば日本ハムに対してもそういう抗弁を認めるべきだと思います。

 日本ハムの詐欺事件も元はと言えば酪農家と農水省が怠慢により狂牛病を発生させたことが原因であり、食肉業界は売り上げ減少により甚大な損害を蒙りました。また、詐欺を誘発したのは、確たる証明もなく牛肉の買い取りを進めた農水省のずさんな対応が原因であることも明白です。今回の西友に対する詐欺事件と日本ハムの詐欺事件の構図はよく似ています。日本ハムの詐欺を厳しく断罪するのであれば、今回の西友に対する詐欺事件も厳しく断罪されなければなりません。

 事件の今後の展開を注目しますが、警察もマスコミもこの詐欺事件に厳しい対応はしないと思います。彼らが演出している、企業=悪、消費者=善という図式は虚構であり、「悪徳企業日本ハム」叩きは、巨悪(農水省の官僚や農水族議員の無能と怠慢)を隠す目的があると思います。

平成14年9月30日     ご意見・ご感想は こちらへ     トップへ戻る     目次へ