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刑法改正により、「懲役」と「禁固」が無くなり、「拘禁刑」に一本化され、「刑務作業が義務ではなくなる」 -「刑期(拘禁期間)」は一体誰が、何を根拠に決定するのでしょうか-
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懲役と禁錮は廃止、「拘禁刑」に一本化…刑務作業が義務ではなくなる改正刑法施行
2025/06/01 00:00 読売
懲役と禁錮を「拘禁刑」に一本化する改正刑法が1日、施行された。明治40年(1907年)の刑法制定以来、新しい種類の刑罰が導入されるのは初めて。更生や再犯防止を目的に、従来の刑務作業と新たな指導プログラムを組み合わせ、受刑者の年齢や特性に応じた処遇を実施できるようになる。
法務省
拘禁刑は、受刑者を刑事施設に拘置した上で「改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、必要な指導を行うことができる」と規定しており、刑務作業が義務ではなくなる。懲役と禁錮は廃止される。
拘禁刑導入の背景には、再犯状況の悪化と受刑者の高齢化がある。今後は刑務作業を行わせながら、再犯防止のための指導や高齢者向けのリハビリなどに時間をより割けるようになる。一方で、新たな処遇の必要性が低いと判断された受刑者は、従来通り、主に刑務作業に従事する。
懲役や禁錮と同様に、拘禁刑には無期と有期があり、有期拘禁刑は1月以上20年以下。施行以降に発生した事件や事故が対象だが、現在入所中の受刑者や、施行前に起きた犯罪で懲役や禁錮の判決がこれから確定する受刑者に対しても、1日以降は拘禁刑受刑者と同様の処遇が施される。
記事でも「拘禁刑」と表記します
(以下略)
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「懲役」と「禁固」が無くなり、拘禁刑に一本化され、「刑務作業が義務ではなくなる」と言いますが、自由に刑務所の外に出られるわけではなさそうなので、そういう意味では実態は今の“禁固”一本化され、刑務所内では「刑務作業」は無くなり、本人のための教育が行われるという事のようです。
これは「刑務所」が「刑務所」で無くなる事を意味していますが、それで良いのでしょうか。「刑期(拘禁期間)」は一体誰が、何を根拠に決定するのでしょうか。
「拘禁刑」の目的は「更生や再犯防止」とし、「受刑者の年齢や特性に応じた処遇を実施」と言うことは、刑罰は科さないという事です。これはよく言えば「画期的」であり、悪く言えばこれは「無謀」としか言いようがありません。
刑罰(刑期)は罪の重さにより、法廷で判事が決定しますが、拘禁が「教育・指導」が目的であれば、それは司法の仕事では無く、医師・教師の仕事です。検事と弁護士が証拠を元に論戦して、判事が決めることでは無くなります。従って拘禁期間は判事が口を出すことでは無くなります。
反対に「拘禁」という言葉の「曖昧さ」を良いことに、看守などが特定の受刑者に過酷な対応をする事を可能とする余地が生まれる危険性もあります。
一方で「死刑」については何も報じられていませんが、「死刑廃止」とは報じられていないので、罰金を除いては死刑は唯一の刑罰となるようです。
これも刑罰全体に対する考え方の整合性に欠ける一大欠陥と言えます。それとも死刑廃止を視野に入れてのことなのでしょうか。
犯罪者の高齢化が強調されていますが、言うまでも無いことですが、犯罪者はそのような高齢者ばかりではありません。
新聞記事に出てくる犯罪者のほとんどは“非高齢”の凶悪犯や、被害者や社会にとって厳罰を必要とする犯罪者ばかりです。それらに対して「厳罰」を放棄することは、司法がその責任を放棄するに等しいと言う他はありません。
令和7年6月2日 ご意見・ご感想は こちらへ トップへ戻る 目次へ