C27
裁判所がウソと脅迫で和解を迫る理由

 尼崎公害訴訟の控訴審で、大阪高等裁判所は第一回の口頭弁論で結審しました。9月22日の読売新聞は次のように伝えています。

 「妹尾圭策裁判長は『国・公団が和解勧告に応じられないならば、速やかに判決するのが裁判所の使命』と弁論を終結。さらに年内判決の方針を明らかにする一方、『和解のドアは開けている』と和解への意欲もにじませた」
 「国・公団側は・・・弁論継続を求めたが、妹尾裁判長は『一審で10年以上かけ、必要な立証はできている』と審理終結を宣言。また、『 年内に判決を言い渡せるよう最大限努力をしたい』と述べるとともに、『国・公団側が勧告に応じることを強く希望します』と、和解が最良の解決策とする考えを改めて強調した」


 妹尾裁判長は8月29日に高裁で開かれた原告、被告双方を交えた協議の席上、「(控訴審で)完璧な判決をするにはなお相当長期間を要する」と言っていました。それが和解を勧告した最大の理由でした。それなのに和解勧告が被告によって拒絶されるや、一転して、一回も審理を行わず判決を出すと言っています。完璧な判決を出すのには相当長期間かかると言っていたのはウソだったのでしょうか。

 そして、結審して年内に判決を出すと言いながら、なお和解を勧告していますが、これは一体なぜなのでしょうか。年内に判決を出せるのなら、なぜ和解にする必要があるのでしょうか。それは本当は判決にしたくないからだと思います。一回も審理をしないでまともな判決が出せるわけがありません。一審で10年かけたから控訴審での審理が不要というのであれば、高裁が自ら高裁不要論を唱えているのと同じです。それでは裁判所はなぜ、即時に結審して年内に判決を出すなどと急に言い出したのでしょうか。それは和解に応じない被告を脅迫し和解勧告を飲ませるためだと思います。

 裁判所はなぜそんなにまでして和解にしたいのでしょうか。それは、判決でなく和解であれば、結論に至った法的根拠も証拠も明らかにせずにすむからだと思います。今回裁判所が和解に固執するのは、法的根拠も証拠も明らかにできないような結論を出したいからだと思います。

平成12年9月22日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ