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最高裁は政治活動をやめよ

 1月19日野読売新聞は、「参審制 最高裁も『評決権』容認」、「具体的制度を検討」という見出しで次のように報じていました。

 「最高裁は、国民から選ばれた『参審員』が裁判官と一緒に刑事裁判の審理を行う参審制について、判決に加わる評決権を認めることを前提に、日本にふさわしい具体的制度の本格的な検討を始めた。裁判の構成は裁判官3人に市民2人のドイツ型としているが、審理の進め方は・・・北欧型を想定している。刑事訴訟法の改正が少なくて済み、導入しやすいと判断した」

 「最高裁はこれまで、裁判官の独立を規定した憲法に違反する疑いがあることから、『評決権は認めない参審制が無難』としてきた。・・・司法制度改革審議会が評決権のある参審制の導入を打ち出した場合、新制度の導入に反対姿勢をとり続けては国民の理解を得られない、との判断に傾いたとみられる」

 報道はすべて「最高裁は・・・」となっていて、具体的に誰が何と言ったのかが書かれていないため、今ひとつ明確ではありませんが、最高裁の裁判官が裁判制度のあり方に口をだすことは、許されることなのでしょうか。裁判制度をどう改めるべきかは、正当な国民の代表者が議論し、決定すべきものです。それが民主国家のルールです。職業裁判官がそれに対して、異を唱えたり独自の提案をしたりするのは、民主政治のルールを踏みにじるものです。裁判官は意見を求められたときだけ意見を言えばいいのです。

 また、最高裁が言っている内容をみても、評決権のない参審制の方が無難と言ったり、参審員の人数が9人のフランス方式よりも2人と少ないドイツ方式の採用を主張したり、参審制の実現を阻めないのであれば、形だけの参審制を認めて何とか実質的に現状を維持しようという発想が目立ち、その主張には何らみるべきものがありません。おそらく、最高裁はなぜ国民の間で参審制を求める声が広がったのかという問題認識が全くないのでしょう。参審制を求める声は、裁判所に対する不信任の声だということが全く分かっていません。

 最高裁のホームページにはメールアドレスもファックス番号も書いてありません。国民の意見に耳を傾けようと言う姿勢が全くみられません。彼らは国民の声を聞く耳を持たないのが司法の独立だと思っているようです。

平成13年1月20日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ