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死刑制度は過去の遺物か

 12月1日の読売新聞は、「死刑廃止国際デー」、「11月36日、今年から60都市で廃止訴え」と言う見出しで、次のように報じていました。

 
「人権団体連合のスポークスマンは『死刑は奴隷や拷問のように過去の制度である』としている。国際的人権団体『アムネスティ』(本部ロンドン)によると、昨年、31カ国ですくなくとも3,048人が死刑を執行された。このうち中国は2,468人で全体の80%以上を占めた」

 今まで死刑廃止論者は、「死刑は殺人である」、「死刑は残虐な刑罰である」と言うことを論拠にしてきたと思います。今回の「死刑は過去の制度である」という主張はその点で従来と異なります。

 さて、死刑は「過去の遺物」と言い切れるでしょうか。確かに一部の先進国で、死刑廃止の歴史が長く、死刑廃止によっても法秩序が維持できている国ではそういえるでしょうが、すべての国でそうであるとは限りません。現代の中国で死刑制度を廃止したら、凶悪犯罪が激増して収拾がつかなくなると思います。そうなったときに人権団体の人たちは責任をとれるのでしょうか。

 過去の遺物であるかどうかはその国の国情、発展段階によって異なります。例えば、蒸気機関車は先進国にとっては過去の遺物ですが、世界の国の中には今でも現役の交通手段として第一線で活躍している国があります。それはやむを得ないことであって決して非難されるべき事ではありません。

 21世紀なった現代でも国の発展段階はバラバラで、世界が同一レベルで足並みを揃えている訳ではありません。そういう違いを無視して死刑廃止を強要することは当該国に苦痛を強いるもので、実情を無視した独善に他ならないと思います。

平成14年12月1日     ご意見・ご感想は こちらへ     トップへ戻る     目次へ