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暴走する最高裁―日本国憲法の効力は日本国外にも及ぶのか

 9月14日の「Sankei Web」は、「在外選挙権制限は違憲 次回での権利を確認 最高裁」という見出しで次のように報じていました。
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 海外在住の日本人が衆院選の小選挙区と参院選の選挙区で投票できないのは選挙権を保障した憲法に違反するとして、在外邦人ら13人が国を相手に公選法の規定の違法確認と慰謝料などを求めた訴訟の上告審判決が14日、最高裁大法廷(裁判長・町田顕長官)で言い渡された。・・・

≪在外選挙権最高裁判決骨子≫
 1. 改正前の公選法が、在外選挙を全く認めていなかったのは違憲
 2. 改正後の公選法が、当分の間、在外選挙を比例代表に限っているのは違憲
 3. 判決後、最初の衆院総選挙、参院通常選挙において、原告らが選挙区選挙に投票できることを確認する
 4. 1996年までに国会が立法措置をとらなかったことは、国家賠償法上の違法行為であり、国は精神的苦痛に対する
    慰謝料支払い義務を負う。慰謝料は1人5000円が相当
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 日本国憲法の効力は日本国外にも及ぶのでしょうか。国外に住む日本人にも及ぶのでしょうか。外国に住む日本人は外国政府に納税し、現地の法律の下に生活しています。中国に住んでいる日本人に言論の自由はありません。外国に住んでいる日本人に日本国の法令が及んでいるとは考えられません。憲法も一法律であると考えれば、憲法の効力は外国に住む日本人には及んでいないと考えるべきだと思います。
 そもそもこの点に関して憲法に明確な規定はありません。違憲と断じた最高裁の判断には根拠がないと思います。明確な違憲の根拠がない以上、三権分立の下では立法府の判断は尊重されなければなりません。

 憲法は第81条で「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」とし、憲法に反する法律に無効を宣言する権限を認めていますが、憲法が認めているのはそこまでであって、裁判所に立法府に対して命令する権限を認めている訳ではありません。そのような権限を認めれば、三権分立は成り立ちません。

 このような観点から考えると、今回、裁判所が立法府の「不作為」を「国家賠償法上の違法行為」と断罪したことは、立法府に「作為(立法)」を命じるものであり、違憲立法審査権の範囲を逸脱した暴挙であると思います。裁判所が憲法を拡大解釈することは許されません。
 裁判所がどうしても言いたければ、現在の公職選挙法は憲法違反であり、無効であると言うべきです。さらに選挙も無効であると言うべきです。それを言うだけの勇気がないのであれば、原告の訴えを退ける他はありません。

平成17年9月18日   ご意見・ご感想は   こちらへ    トップへ戻る   目次へ