C48
代理出産を否定して子供から母親を奪い、母親から子供を奪い、その責任を立法府に転嫁した姑息で卑劣な最高裁

 3月24日の読売新聞は、「代理出産、母子と認めず 本人卵子でも 向井さん敗訴確定/最高裁決定、『民法の想定外』早期の法整備促すという見出しで、次のように報じていました。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------
 タレントの向井亜紀さん(42)夫妻が米国の女性に代理出産を依頼して生まれた双子の男児(3)について、夫妻を両親とする出生届を東京都品川区が受理しなかったことの是非が問われた裁判で、最高裁第2小法廷は23日、受理を区に命じた東京高裁決定を破棄し、出生届受理は認められないとする決定をした。古田佑紀裁判長は「現行の民法では、出生した子の母は懐胎・出産した女性と解さざるを得ず、代理出産で卵子を提供した女性との間に母子関係は認められない」とする初判断を示した。・・・

 ・・・決定は、「代理出産という民法の想定していない事態が生じており、立法による速やかな対応が強く望まれる」と指摘した。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------

 裁判所は、「代理出産という民法の想定していない事態が生じており、立法による速やかな対応が強く望まれる」と言っていますが、なぜこんなことを言うのでしょうか。
 現実は日々変化し、法律の想定していない事態が生じるのは日常茶飯事のことで、今回の代理出産に限りません。法律が想定していない事態が生じた時、裁判所はその都度立法を待たないと判断が出来ないのでしょうか。裁判所は法律があればその通りの判断をするのでしょうか。決してそんなことはありません。

 裁判所は法律があろうとなかろうと、自らの判断で判決を下しています。不法滞在の外国人の「人権問題」などでは、平気で法律を無視しています。日頃、法律などは屁とも思わず、自らの独断と偏見で言いたい放題のことを言っている最高裁が、今回に限り「立法が望まれる」などと、立法府の判断を尊重するかのごとき、殊勝にも見えることを言い出すのは、一体なぜでしょうか。

 それは、今回の結論が親子関係の存否という問題より、代理出産の是非という政治的思惑を優先させた結果、母子の幸福を踏みにじったと言う後ろめたさを感じているからだと思います。最高裁の判事達は、「法律がないからやむを得なかった」というエクスキューズをしたかった、つまり立法府に責任を転嫁したかったのだと思います。責任転嫁が卑劣な行為であることは言うまでもありません。

平成19年4月1日   ご意見・ご感想は   こちらへ    トップへ戻る   目次へ