C63
被爆者援護法訴訟に見る、日本人の戦意喪失
−韓国人に行政訴訟の原告適格性はない−

 10月26日の読売新聞は、「在外被爆者医療費訴訟 大阪知事が控訴断念意向 『原告は高齢早く解決を』」と言う見出しで、次のように報じていました。
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 海外に住んでいることを理由に被爆者援護法に基づく医療費が支給されないのは違法として、韓国在住の在外被爆者ら3人が支給申請の却下処分取り消しなどを求めた訴訟で、大阪府の松井一郎知事は25日、府の処分を取り消した24日の大阪地裁判決について、控訴を断念する意向を示した。府庁で記者団に対し、「原告は高齢で、早く解決したい」と述べ、控訴しない方向で国と協議するという。

 松井知事は「早く解決する一番の方法は判決を受け入れること。控訴しない方向で(府の担当部局に)指示を出した」と説明した。
 だが、府は医療費支給の窓口になっているだけで、全額負担するのは国。松井知事は「立て替えるのはよいが、その分は国に請求する。ただ全国一律の制度で、国に対応を考えてもらいたい」とし、法改正などを国に働きかける考えも示した。

 松井知事の発言について、厚生労働省のある幹部は「日本は医療費の自己負担が少ないから全額公費で負担できる。でも医療保険制度が異なり、自己負担が高額な海外で同じことをするのは難しい」と困惑
 この訴訟では、府と国が被告になっているが、大阪地裁判決は国に対する国家賠償請求を棄却しており、国は控訴できない。
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 松井知事は「早く解決を」と言っていますが、早ければ何でもいいのでしょうか。そうであれば、訴訟を待たず、原告の請求に応じた方が良かったのではないでしょうか。訴訟を待ったのは、単なる責任回避の公務員根性だったのでしようか。そういえば、訴訟でも大阪府が主張したのは、被爆者援護法に「外国に居住する外国人にも請求権がある」という条項がないという点だけだったようです。

 問題はそんな細かい点にあるのではありません。
韓国に住む韓国人の医療費をなぜ日本国民の血税によって支払うのか」、これが根本的な問題です。
 韓国人が日本でインフルエンザにかかり、帰国後に入院したら、その治療費は日本が負担することになるのでしょうか。

 裁判所は判決の中で、
被爆者援護法に基づく医療費の給付は、社会保障と国家補償の性格を併せ持つと言っていますが、社会保障であれば、韓国に住む韓国人の医療費を日本政府が負担する理由は全くありません。国家補償(国家賠償)であれば、日韓請求権協定により、すべて解決済みである事は言うまでもありません。どちらに解釈しても、韓国人原告の請求に応じるべき理由は全くないのです。

 韓国に日本の行政権が及んでいない点を考えても、この
「行政訴訟」は原告が適格性を欠いているのです。

 韓国人達の請求は単なる
“タカリ行為”です。日本人がもらえる物は何でも自分たちも請求するというさもしい根性の発露なのです。
 そして、彼等のタカリ行為に対して、裁判所だけでなく、大阪府、厚生省までもが
言うべきことを言わず、事なかれ主義に終始していることは、正に戦意を喪失した日本人と言うほかはありません。
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日韓請求権並びに経済協力協定(財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定)(抜粋)

第二条

1 両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。

3 2の規定に従うことを条件として、一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益であつてこの協定の署名の日に他方の締約国の管轄の下にあるものに対する措置並びに一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権であつて同日以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もすることができないものとする。
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平成25年10月27日   ご意見ご感想は こちらへ   トップへ戻る    目次へ