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司法の現実離れを象徴している、テレビニュースにおける、静止画風の動画とスケッチ画の存在 −裁判のテレビ生中継を実現すべき−

 1月21日のNHKテレビニュースは、河井案里参院議員の選挙違反有罪判決を、「河井案里参院議員に有罪判決 東京地裁 確定すれば当選無効」と言うタイトルで、次の様に報じていました。
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河井案里参院議員に有罪判決 東京地裁 確定すれば当選無効
2021年1月21日 18時03分 NHK

河井案里参議院議員がおととしの選挙をめぐり公職選挙法違反の買収の罪に問われた裁判で、東京地方裁判所は、地元議員らに現金を渡したのは買収が目的だったと認め、「供与した額は多額に及び刑事責任は重い」として懲役1年4か月、執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。有罪判決が確定すれば、公職選挙法の規定によって案里議員の当選は無効になります。

(以下略)


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 ここで指摘したいのは、判決の内容についてではなく、
映像取材についてと今後の裁判のあり方についてです。
 このニュースのテレビ放映は1分45秒にわたるもので、その中には上の4コマのようなシーンがありました。いずれもテレビの
動く画面から、静止画に切り取ったものです。

 この上の判事席の2枚は、
動画として撮影され、動画として放映されたものですが、判事達は全員約12秒間、「直立不動」ならぬ、「着席不動」の姿勢で身動き一つしませんでした。なぜでしょうか、
 大変不自然です。
静止画撮影なら、じっとしているのは分かりますが、動画撮影と分かっていて、“不動の姿勢”は動画撮影の意味が無く、理解に苦しみます。これでは実質的に動画撮影を拒否(禁止)しているのと同じです。

 下の
河井案里被告の絵は、3枚が約50秒間次々と角度を変えて動画で放映されていたものを静止画に切り取ったものです。
 デジタル写真・動画の普及、特に
スマホの普及で、社会・事件のあらゆる瞬間がユーチューブなどで公開・提供される便利な世の中になって、手書きの絵とは一体どういうことなのでしょうか。法廷で絵を描くひまはないので、おそらく退廷後に記憶を元に絵を描いているのだと思いますが、本当にご苦労なことです。そのせいか案里さんの表情は本人とは別人のようです。

 こんなことなら動画ではなくて、
静止画を撮影した方がマシではないかという気もしてきますが、静止画撮影は禁止されているようです。動画は良くて静止画はいけないというのも理解に苦しみます。

 これらは総じて裁判所(司法業界)の
肖像権保護に名を借りた秘密主義の一端だと思います。
 この
国会議員が当事者となっている裁判はもちろん、それ以外でも国や自治体などが当事者となっている裁判(違憲立法審査を含む)は、全国民が当事者と言って良いと思います。それらの裁判に於いては、単なる写真・動画の撮影だけでなく、法廷での全審理の過程をテレビで生中継する必要があると思います。

 それが憲法が保障する
「主権在民」「裁判の公開」が意味するところです。限られた少数の傍聴人を法廷に入れるだけが「公開」ではないはずです。憲法にテレビ中継が謳われていないのは、単に当時テレビがまだ存在していなかったからに過ぎません。時代の変遷を考慮すれば、テレビ中継は当然のことです。

 今、
行政では“デジタル化”が急がれていますが、この司法業界では自分たちの問題として意識しているのでしょうか。それとも人ごとだと思っているのでしょうか。彼らの旧態依然・古色蒼然とした思考回路を支えているのは、「司法の独立」です。この「司法の独立」を見直し、彼らの思考回路にメスを入れて、「裁判の生中継」を早期に実現すべきだと思います。

令和3年1月27日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ