C88
時間の経過と共に現実社会「憲法」乖離は進む

 9月23日の読売新聞は、「『難民』裁判できず送還 違憲…東京高裁 国に60万円賠償命令」と言う見出しで、次のように報じていました。
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「難民」裁判できず送還 違憲…東京高裁 国に60万円賠償命令
2021/09/23 05:00 読売

 スリランカ国籍の男性2人が、難民認定を求める裁判を起こす時間を与えられずに強制送還され、
憲法が保障する「裁判を受ける権利」が侵害されたとして、国に慰謝料計1000万円を賠償するよう求めた訴訟の控訴審判決が22日、東京高裁であった。平田豊裁判長は「司法審査を受ける機会を奪った」と述べ、入管当局の対応を「違憲」と判断。国に計60万円の支払いを命じた。原告側弁護団によると、強制送還の手続きを違憲とした判決は初めてとみられる。

 1、2審判決によると、原告2人は2011年5月と12年6月、それぞれ不法残留の疑いで逮捕され、国外退去処分の決定後に仮放免された。その間に
難民認定を申請したが、14年10~11月に不許可が確定。東京入国管理局は同12月17日、2人を呼び出して不許可の結論を通知、翌日早朝にチャーター便で強制送還した。

 平田裁判長は難民認定の制度上、申請者は不許可を知った日から
6か月以内裁判を起こすことが認められ、入管当局の事務要領でも「結論は速やかに通知する」と規定されていると指摘。「提訴前に送還するため、あえて通知を遅らせたとしか解釈できず、違憲・違法な行為だ」と結論づけた。

 国側は、不許可を送還前日まで伝えなかった理由を「
逃亡や送還の妨害を防ぐためだった」と主張。昨年2月の1審・東京地裁判決は主張の妥当性を認め、請求を棄却していた。
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 記事は
「違憲」と報じていますが、憲法の何条のどこに違反するのか何も明らかにしていません。最近はこういう報道が多数見受けられます。
 憲法に明記されているのは
第3章「国民の権利及び義務」の第32条「裁判を受ける権利」の、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われない」という部分だけです。

 当然、
「外国人の権利」に関わる条文はありません。そして、事件は外国人の不法残留とそれに伴う強制送還であり、日本人にはあり得ない外国人特有の事件です。このような事件に日本国民の「裁判を受ける権利」“準用”するのは妥当ではありません。

 
憲法制定当時は敗戦直後の混乱期で、当時の日本で在日外国人の訴訟、外国人労働者の不法残留、強制送還を想定して憲法が制定されたとは到底思えません。

 それにも拘わらず裁判所が違憲の訴えを認めて、
違憲の判断を下したことは、憲法に規定のないことを想像(創造?)的に解釈・判断したもので、これは三権分立の法治国家とは言えない事態です。
 このような場合は
「違憲の根拠はない」として、原告の請求を棄却すべきです。

 昭和21年の“一夜漬け”の
憲法制定以来75年が経過し、その間憲法は一度も改正されていません。時間の経過と共に現実社会と“憲法”の乖離が進んでいます。その間、違憲訴訟が提起されれば、裁判所は憲法に明文の規定がないこと(想定していないこと)について、憲法判断をしようとしています。
 これは司法の越権行為であり、
三権分立の否定司法の暴走に繫がり、あってはならない事です。
 憲法に明文の規定がない権利に関する
「違憲の主張」については、すべて却下すべきです。

 それらの判決が続けば、国民の間にも
憲法改正の必要が理解され、改正の機運が高まる事が期待できます。

令和3年10月20日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次