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選挙の街頭演説に対する妨害のヤジ(発言)は「言論の自由」として保護されるべきではない

 6月22日の朝日新聞デジタル記事は、「ヤジ排除訴訟、二審も北海道に賠償命令 原告1人の請求は棄却」と言うタイトルで、次の様に報じていました。
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ヤジ排除訴訟、二審も北海道に賠償命令 原告1人の請求は棄却
石垣明真2023年6月22日 15時45分
朝日新聞デジタル記事

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写真・図版
「これが民主主義か!?」と書かれた紙を掲げる原告の男性(左)と「一部勝訴」と
書かれた紙を掲げる原告の桃井希生さん(右)=2023年6月22日午後3時15分、札幌市中央区、
角野貴之撮影 写真・図版写真・図版写真・図版


 2019年夏の参院選で、札幌市で
演説中の安倍晋三首相(当時)にヤジを飛ばした市民2人が「警察官に排除され、憲法が保障する表現の自由を侵害された」などとして、北海道に計660万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が22日、札幌高裁であった。大竹優子裁判長は、1人について表現の自由などの侵害を認め、道に55万円の賠償を命じた。もう1人については、警察官の行為は適法だったとし、請求を棄却した。

【判決要旨】北海道警のヤジ排除訴訟、控訴審 原告1人の請求は棄却
 22年3月の一審・札幌地裁判決は、2人について
表現の自由などの侵害を認め、計88万円の賠償を命じていた。

 一審判決によると、原告の2人は19年7月15日、JR札幌駅前などで応援演説をしていた安倍氏に対して
「安倍やめろ」「増税反対」などとヤジを飛ばし警察官に肩や腕をつかまれて移動させられたり、長時間付きまとわれたりした。

 一審判決は、大半の行為について、生命や身体に具体的な危険が差し迫っていたとはいえないと判断。急を要する場合に関係者を避難させたり、制止したりできると定める
警察官職務執行法適用要件を満たしていないとし、警察官の行為は違法だと認定した。

 その上で、
ヤジの内容は公共的・政治的事項に関する表現行為だと判断し、警察官らの行為によって「原告らの表現の自由が侵害された」と認めた。

 道側は控訴し、新たに提出した動画などから、
聴衆との間で暴行や傷害雑踏事故に発展する危険性が認められたなどと主張していた。(石垣明真)
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 日本国民には憲法で保証された人権(言論の自由、表現の自由その他)があるのは原告の主張通りですが、その権利は応援演説をしていた安倍総理にも当然あります。複数の当事者の人権と人権が衝突することは決して珍しいことではありません。
 そのようなときはどうするか、
どちらの人権が優先するかという問題です。当然安倍総理の権利が優先されるはずです。街頭演説の場は無秩序な公開討論会の場ではないのです。

 今回の様な事例では、被告の行為は
安倍総理の発言権の行使を妨害するもので、そのような権利の行使は尊重(優先)されません。権利を主張するのであれば、安倍総理の権利を侵害しない別の会場で安倍批判演説をすれば良いのです。

 裁判所は「ヤジの内容は公共的・政治的事項に関する表現行為だ」として、被告の主張を正当化して、警察(北海道)に賠償を命じていますが、これは誤りです。
 この判事達は、
政権・与党を批判する権利こそ、国民の不可侵の権利だと考えているのでしょうか。選挙に於いては与党・野党の区別はありません。

 今回は警察官が被告に対して
「警察官職務執行法」に基づく“制止”行動を取ったことが問題視されていますが、それは本筋から外れた枝葉末節の揚げ足取りの議論です。今後も演説妨害(選挙妨害)が頻発(続く)ようであれば、選挙妨害として取り締まる法律が必要ですが、そのような法令がなくても、被告の選挙妨害が明らかであれば、被告の損害賠償を求める訴えを認めるべきではありません。「これが民主主義か!?」と言う台詞は被告にそのまま投げ返されるべき発言です。
 
令和5年6月28日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ