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笑止千万な中国人の東芝提訴

 5月27日の読売新聞に、中国で東芝製ノート型パソコンのユーザー3人が同社のパソコンに不具合があったとして、賠償金8万元(約104万円)と謝罪を求める訴訟を起こしたことが報じられました。提訴を支持する政府系団体もあり、中国で訴訟が広がる可能性があるとのことです。また、5月23日の京都新聞によると、中国のマスコミは最近相次いで、東芝がこの問題でアメリカの集団訴訟で、1,100億円の和解金を支払ったのに、中国のユーザーに賠償しないのは「差別」だと報じていたそうです。

 5月22日北京で記者会見をした、東芝の古賀正一副社長の説明によれば、アメリカ以外は日本を含むすべての地域で。不具合への対応ソフトを無料で配布しており、中国を差別してはいないとのことです。なぜアメリカと対応が違うのかと言えば、それは、司法制度が異なるからということになると思います。

 この東芝のノート型パソコンの不具合は、フロッピーディスクの制御装置の不具合で、データが壊れる恐れがあるというものですが、実際に損害が起きた例はなく、単に理論上その可能性があるという程度に過ぎないものだそうですが、アメリカ特有の異常な司法制度ゆえに巨額の和解金の支払いを余儀なくされたというものです。日本はもちろん、アメリカ以外の国では考えられない訴訟結果と言えると思います。

 もし、中国がアメリカと同じような司法制度の国であるならば、中国人が訴訟を起こすのはやむを得ないと言えるでしょう。しかし、中国はこのような消費者の訴訟が起こされ、それが裁判所に認められ、企業が賠償しているという国なのでしょうか。そのようなニュースは聞いたことがありません。逆に国営企業の殿様商売の話はよく聞いたことがあります。中国の裁判所が東芝に対して、もしアメリカの裁判所と同じように賠償を命じるのであれば、今後、同じような製品トラブルについて、中国の企業に対しても同じように賠償を命じなくてはならないことになります。中国人にその気はあるのでしょうか。それをしなければ外国企業に対する不当な差別になります。

 そうではなく、アメリカ人に賠償したのに、中国人に賠償しないのは差別だというのなら、中国人は常にアメリカの司法判断に従うと言うことなのでしょうか。もし、アメリカの司法判断が逆に東芝に賠償義務がないとするものであったら、中国の消費者は賠償請求を断念するのでしょうか。ずいぶん主体性のない話だと思います。日頃アメリカ人の人権抑圧批判に強く反発し、独自の価値観、独自の人権基準を主張している人達が、こと、利益になる話になると欲に目がくらみ、日頃の主張を忘れてアメリカ人の尻馬に乗ろうとするのは見苦しく、浅ましい限りだと思います。

平成12年5月28日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ