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日本だけを狙っている反捕鯨運動

 1月17日の夕刊各紙に、ノルウエーが鯨肉を日本に輸出することが報じられていました。同日の朝日新聞は、「ノルウェー、鯨肉輸出へ」、「日本企業130トン買い付け」という見出しで、次のように伝えていました。

 「ノルウェー政府は16日、商業捕鯨で捕獲した鯨肉の全面的な輸出解禁に踏み切ると発表した。日本企業4社が計約130トンの買い付け契約を済ませたと地元紙が報じており、輸出は事実上、日本向けになるとみられる。グレーグッセン漁業相は記者会見で、今年の鯨の捕獲量を594トンと推定すると、鯨肉159トンを輸出に回せるとし、・・・」
 「ワシントン条約で鯨の商取引は禁止されている。この決定を留保している日本やノルウェーでは取り引きしても問題はないが、反捕鯨国が非難を強めるのは必至と見られる。ノルウェーは1993年商業捕鯨を再開したが、輸出許可証を発行せず消費は国内向けに限定。・・・」

 去年、日本が調査捕鯨を拡大したことに対して、国際捕鯨委員会は日本に中止を勧告し、アメリカやオーストラリアは日本を非難し、クリントン米大統領は、米国の200カイリ内で日本漁船の操業を禁止する制裁を発動しました。環境保護団体グリーンピースは日本の調査捕鯨を暴力行為により妨害しています。
 一方、アイスランドは1992年国際捕鯨委員会を脱退し、ノルウェーは1993年から商業捕鯨をしていますが、欧米、オーストラリアなどの反捕鯨国家が、アイスランドやノルウェーに対して制裁を加えたという話は聞いたことがありません。グリーンピースがノルウェーの商業捕鯨を妨害しているという話も聞きません。
 その他にも国際捕鯨委員会に加盟していないカナダのホッキョククジラ、インドネシアのマッコウクジラ、ニタリクジラ、スリランカのマッコウクジラ、南太平洋諸国のザトウクジラなどが捕獲されていますが、これらの国は、国際捕鯨委員会に加盟していないため何の規制も制裁も受けていません。日本だけが非難の標的になっているのです。

 今回の鯨肉輸出に対して反捕鯨国が非難を強めるのは必至と書かれていますが、ノルウェー人が鯨を食べるのは良くて、日本人が食べるのはいけないと言う理由は何なのでしょうか。彼らの日本非難には日本に対する露骨な悪意を感じざるを得ません。彼らの非難に、「人種差別の臭い」を嗅ぎ取らない日本人は鈍感であるか、不愉快な現実から目を背けているかのどちらかだと思います。
 日本の新聞は、他人事みたいな報道をやめ、捕鯨をめぐる問題は環境問題でも、動物愛護の問題でもなく、日本人に対する人種差別問題であることを、読者に明らかにすべきだと思います。

国際捕鯨委員会からの報告
深い捕鯨国・反捕鯨国の溝
日本捕鯨協会の発行する「勇魚」から
鯨Q&A

平成13年1月18日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ