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インドとパキスタン

 今日(5月19日)の「産経抄」に「インドとパキスタンの間柄はいわば“近親憎悪”に近く歴史的な宿命のようなものだろう。・・・」とありました。現在の状況を見るとそう見えますが。本当に宿命的なものなのでしょうか。私はインド、パキスタンの歴史を詳しくは知りませんが、隣り合った国同士はとかく利害が対立して、必ずしも友好的にはなれないのが珍しくないと思います。それよりもイギリスの植民地支配が両者の対立をあおったと言うことはなかったのでしょうか。イギリスの「分割統治」は有名ですし、ビルマの植民地支配に当たっても、インド人や少数民族のカレン族を利用して、ビルマ人の反感を彼らに向けさせるなど、現在に禍根を残す卑劣な支配は数多く見られます(詳しくは産経新聞「20世紀特派員『植民地の日々』」参照)。

 カンボジアのポルポト政権が虐殺を行ったことについてアメリカは何の責任もないのでしょうか。アメリカの支援の下ロン・ノル将軍がシアヌーク殿下を打倒するクーデターを起こすまで、カンボジアは大虐殺を予想させる状況ではありませんでした。このクーデター以後カンボジア人の反ベトナム感情が高まり、今度は中国の支援でポルポト派のクーデターが起き、大虐殺の悲劇へと続いていったのです。

 アフガニスタンではソ連が撤退した後も、同一民族で、政府軍、反政府軍の果てしない血みどろの戦いが今も続いています。アフガニスタン人が好戦的だと言うわけではないと思います。ソ連が親ソ連の傀儡政権を作ってアフガニスタン人を対立させたことが今日の悲劇の始まりでした。人間は憎しみを植え付けられると止まらなくなってしまうのです。そして、人を和解させることは難しいことですが、憎しみあわせることは比較的簡単にできるのです。

 こういう点から見ると日本の植民地支配は、人道に反していなかったと言えると思います。満州国における「五族協和」とは文字通り日本人、朝鮮人、シナ人、満州人、蒙古人の宥和を説いたもので、異民族の反目を利用しようという卑劣なことは考えも及ばないことでした。

平成10年5月19日     ご意見・ご感想は   こちらへ      トップへ戻る      E目次へ