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始まったアメリカによるイスラム教徒への干渉

 11月18日の読売新聞は、「タリバンの女性虐待 米が糾弾キャンペーン」、「ローラ大統領夫人 前面に」と言う見出しで、次のように報じていました。

 「ブッシュ米政権は17日、ローラ大統領夫人をスポークスマンとして、タリバン勢力によるアフガニスタンの女性虐待を糾弾する国内外向けのキャンペーンを開始する。・・・ローラ夫人は17日の定例ラジオ演説を大統領に代わって行い、・・・『テロとの戦いは女性の権利と尊厳のための戦いでもあります』と語ってキャンペーンを開始する」
 「・・・ラジオ演説でローラ夫人は『女性抑圧は宗教と何も関係ない。世界中のイスラム教とがタリバンの女性虐待を非難している』と述べ、キャンペーンはイスラム教に対する偏見とは無縁であることを説明。・・・」


 イスラム教国はサウジアラビアにしろイランにしろ、非イスラム教国の基準から見れば、様々な「女性差別」を行っています。教育でも結婚でも男女は平等ではありません。一夫多妻も容認されています。ローラ夫人は「女性抑圧は宗教と何の関係もない」と言っていますが、「女性の抑圧」はイスラム教の教義と密接に関わる問題であり、イスラム教国の反発を買うと思います。

 アメリカはアフガニスタンに対する軍事行動を起こすに当たり、これはイスラムに対する戦いではないと強調していましたが、このキャンペーンはその宣言から逸脱するのではないでしょうか。
 アメリカはなぜイスラム教徒に憎悪されたのかが分かっていないと思います。こういうことをするからイスラム教徒の憎悪の的になるのです。アメリカが戦後の日本でしたように、イスラム教徒に「民法改正」を強要すれば、大混乱になる恐れがあります。そうなったときにアメリカは責任をとれるのでしょうか。他国の内政には干渉すべきではないと思います。

 大統領夫人のローラさんが前面に立って、ラジオで演説を始めたとのことですが、大統領夫人とはいかなる地位なのでしょうか。単に大統領の妻であると言うだけの私的な関係で政治問題に関わるのは、公私混同ではないのでしょうか。妻にそのようなことが許されるのであれば、2人の娘達にも特別な役割があるのでしょうか。妻を夫の付属物のように扱っているのは、女性の人格を無視していることにはならないのでしょうか。

平成13年11月18日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ