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評価すべき小泉首相の訪中延期

 小泉首相の9月訪中が延期になりました。8月9日のasahi.comは、「小泉首相、9月訪中延期 靖国参拝も影響か」という見出しで次のように報じていました。

 
「小泉首相は9日、国交正常化30周年に合わせて検討していた秋の訪中の延期を決めた。中国共産党指導部人事が決まる党大会の日程が固まらず、中国側が受け入れに難色を示しているためだ。日本側は党大会終了後、新指導部との初顔合わせという形で訪中したい考えだが、中国側は首相の2年連続の靖国神社参拝に強く反発しており、年明け以降にずれ込みそうだ」
 「小泉首相自身も8日夜、首相経験者との会合で「『靖国にはもう行かない』などとは言えない。靖国問題だけに(中国が)こだわると訪中したくてもしにくい面もある」と靖国問題が訪中の障害になっていることを明らかにした」

 続く8月10には、
「中国、失望しつつ冷静に対応 首相の訪中延期に」という見出しで、次のように報じていました。

 
「小泉首相が9月訪中を延期したとの報道について、中国外務省の孔泉・報道局長は9日、『そういう状況にはない』としてなお交渉を続ける立場を示した。首相訪中の前提として靖国問題の収拾を求めていた中国当局は、日本側との大きな隔たりに失望しつつも、冷静に対応しようとしている」

 8月9日の記事を見ると、4月に靖国神社を参拝したことで、「中国側が受け入れに難色を示している」というトーンで書かれていましたが、8月10日の記事では、今回の日本側の延期の決定に、中国が失望していることが報じられています。
 小泉首相が延期を決断したのか、反対に延期を求められたのか曖昧な報道ですが、中国が失望しているところを見ると、今回の延期は日本側が決断したと思われます。私はこの決定をした小泉首相の見識と決断を高く評価したいと思います。

 今までの日本の政治家は外国訪問を人質に取られたような格好になると、訪問が中止になることを失態として批判されることを怖れる余り、相手の無理難題にも「No!」と言うことが出来ず、安易に不必要な譲歩を重ねてきました。今回、日本が「No!」と言うべき時は、断固として「No!」と言う、そのためには訪問が中止になることも辞さない、と言うことを中国に知らしめることは、今後の対中外交の点からも極めて意義あることだと思います。

 かつて、韓国も大統領が訪日する時や日本の首相が訪問する時機を、勝手に懸案事項(従軍慰安婦問題や在日韓国人の地方参政権問題など)のタイムリミットにして、強引に譲歩を迫るという手法を使っていましたが、今回の手口も全く同様です。もしかしたら、日本のマスコミ関係者が、靖国問題で小泉首相を屈服させるために、ご注進に及んだのかもしれません。


平成14年8月10日     ご意見・ご感想は こちらへ     トップへ戻る     目次へ