E28
まだ発見されていないイラクの大量破壊兵器

 4月6日の読売新聞は、
「暫定統治構想」、「米『イラク人主体』強調」、「『占領』印象薄める狙い」と題して次のように報じていました。

 「・・・米政府はイラク戦争後の統治に向け素早い動きを見せている。・・・他国に先手を打つとともに、イラク国民に『フセイン体制は終わった』と訴える狙いがある。米構想は『内外イラク人』を全面に出しながら実質は米主導で、しかも国連の役割を限定的にしており、米国が国際社会のある程度の反発を承知で突き進む意図をうかがわせる」

 アメリカ軍の攻勢の前にイラクは国家存亡の危機に立たされていますが、アメリカがイラク攻撃の大義名分としたイラクの大量破壊兵器は未だ発見されていません。今やこの問題は忘れ去られ、フセイン政権打倒自体が戦争の目的となっているように見受けられます。大量破壊兵器の問題はアメリカがイラク攻撃を正当化するための口実にすぎなかったのでしょうか。

 もともと核兵器という究極の大量破壊兵器を大量に保有し、かつ、核兵器の先制使用を辞さないと公言しているアメリカに、イラクの大量破壊兵器を非難する資格はないと思いますが、それに目をつぶるとしても、アメリカがイラク攻撃の根拠としたのは、イラクが国連の査察に協力せず、大量破壊兵器を隠し持っているという点であったことを忘れてはなりません。

 アメリカはイラクの大量破壊兵器隠匿の有無を速やかに明らかにすべきです。イラクへの駐留はその目的達成のために限定されなければなりません。アメリカはイラク国民は敵ではないといっていたのですから、それ以外のイラクへの干渉は正当化できません。そして、万一イラクの大量破壊兵器を発見できなかった場合は、アメリカは今回の戦争でイラク国民に与えた甚大な損害に対して賠償する責任があります。

平成15年4月6日  ご意見ご感想は こちらへ   トップへ戻る    目次へ