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アメリカがイラクを征服した目的

 4月12日の産経新聞は、「米、教育再興へ本腰」、「大統領礼賛など修正」、「教科書改訂、システム構築」と言う見出しで、次のように報じていました。

 
「・・・米政府がイラクの『教育再興』計画に乗り出している。フセイン大統領礼賛や過度の軍国教育をどのように方向転換していくかが焦点になっており、9月から始まる新学期までに間に合わせる方針だ」
 「米国務省管轄の国際開発局(USAID)はワシントンにある教育研究企業『クリエーティブ・アソシエートインターナショナル』にイラクの教育再興事業を発注した」
 「USAIDから発注を受けたクリエーティブ社では、過激なイスラム原理主義が教育に反映されたアフガニスタンの教育再興事業で得た経験を生かしていく方針だ」
 「USAIDの報道担当者は『米国式な教育スタイルがすべてとは考えていない。子供たちの心理面に十分配慮して、新生イラクのために何とか9月の新学期に間に合わせたい』としている」


 アメリカは今回のイラク戦争に当たり、イラクを征服することが目的ではなく、イラク国民は敵ではないと再三明言していました。アメリカの目的はイラクから大量破壊兵器を除去することが目的であるとして、占領の印象を与えることを極力回避しようとしていました。それなのに、なぜ、アメリカがイラクの教育問題に介入しようとするのでしょうか。

 その一方で、アメリカはイラク国内の無政府状態を放置し、略奪行為の横行を傍観しています。イラク国民の反発をおそれてと言っていますが、これは占領者として極めて無責任であると言わざるを得ません。イラク国民の緊急の要請である治安の維持をないがしろにしていながら、イラク国民が頼んでもいない「教育再興」をたくらんでいるのは、イラクという国を自分の都合のいいように作り替えようと言う、極めて不純な動機が隠されているからだと思います。

 産経新聞は日頃日本の教育再建を主張しています。戦後、進駐軍によって作られた教育基本法の見直しを主張しています。進駐軍によって強いられた「民主教育」が日本の学校教育を荒廃させた元凶であることは、今や否定のしようがない事実だと思います。
 占領軍によって行われる教育改革などは、所詮占領国の利益のために被占領国を無力化することを第一の目的とするものに過ぎず、そのような教育の元では健全な国民精神は必ず蝕まれます。アメリカによるイラクの教育改革は、イラクの将来にとって大きな禍根になると思います。

平成15年4月13日  ご意見ご感想は こちらへ   トップへ戻る    目次へ