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アメリカの大量破壊兵器捜索に期限はないのか

 1月25日の産経新聞は、
「大量破壊兵器『イラクに貯蔵ない』調査団長、辞任に際し表明」と言う見出しで、米中央情報局(CIA)の調査団を統括していたデービッド・ケイ氏(元国連査察団長)が、辞任に際してのロイター通信との電話インタビューで、「イラクに生物・化学兵器の大量貯蔵があったと思わない。核兵器再開発は初期の段階にすぎなかった」と表明し、捜索活動の前途にも厳しい見通しを示したことを報じていました。

 翌26日の産経新聞は、これに対してホワイトハウスが、次のように反論していることを報じていました。

 「ホワイトハウスのマクレラン大統領報道官は二十四日、『イラクの大量破壊兵器の捜索はまだ継続中であり、真実は明らかになる』と、ケイ氏の見解が必ずしも最終結論ではないことを強調。チェイニー副大統領も『大量破壊兵器の捜索活動にはまだ時間がかかる。判断はまだ出せない』と牽制(けんせい)している」

 アメリカは大量破壊兵器が存在しないことをいまだに認めようとしていません。いったいいつまで結論を引き延ばすつもりでしょうか。

 アメリカはイラクとの戦争を開始する当たって、国連や国際原子力機関などの査察に期限を設定するよう要求していました。イラクに対して大量破壊兵器を保有していないことの証明を求め、自らが設定した期限内に証明できなければ武力を行使すると言ってそれを実行しました。

 大量破壊兵器が存在しないことを証明するのに比べれば、存在することを証明するのははるかに容易であるにもかかわらず、アメリカはいまだにイラクが大量破壊兵器を保有していたことを証明できず、結論を出す期限を明らかにしていません。イラクに対しては一方的に短い期限を設定し、自らは無期限というのははなはだ身勝手だと思います。

平成16年1月26日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る   目次へ