E34
誤解を恐れるなら、誤解を解く努力をすべき

 11月7日の産経新聞は、「『核』論議 理解に苦しむ二階氏発言」という見出しで、次のように論じていました。
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 自民党の中川昭一政調会長が核論議を提起していることが、野党だけでなく、与党内からも非難されている。
 自民党の二階俊博国対委員長は5日、「誤解を招きかねない発言であり、重要な立場の人は慎むべきだ」と批判したうえで、「やがて任命権者の責任を問われる事態になりかねない」と述べた。これは理解に苦しむ発言といわなければならない。・・・
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 二階氏は「誤解を招きかねない」と言って、誤解されることを恐れているかのように述べていますが、一体何が誤解されることを恐れているのでしょうか。中川氏の真意が誤解されずにありのままに伝わるのであれば、彼の発言は問題ないと考えているのでしょうか。もし、そうであればその点を明確にした上で中川氏を批判すべきであると思います。

 わが国が自らの安全を確保するためになすべき議論が、国際社会の誤解を招きかねないのであれば、二階氏が政治家としてなすべきことは、中川氏の(あるいは日本国民の)真意が伝わるよう、誤解を解く努力であって、中川氏に沈黙を強いることではないはずです。

 われわれがここで沈黙することは、逆に日本国民が自国の安全を確保する意思と能力を欠いているかのごとく誤解される恐れがあります。われわれは自国の安全確保に有効・有益である限り、非核三原則を維持するのであり、自国の安全を危険にさらしてまで非核三原則を維持することはないと言う当然の意思表示をしなければなりません。

 それにもかかわらず、二階氏が中川氏の口を封じようとしているのは一体なぜでしょうか。彼は外国の誤解を恐れているのではなく、外国を恐れているのだと思います。「誤解を恐れる」というのはごまかしに過ぎないと思います。われわれはそういう腰抜けに国政を委ねる訳にはいきません。
 もし、安倍総裁に任命権者として何らかの責任があるとすれば、それは、政調会長に中川氏を任命した責任ではなく、国対委員長に二階氏を任命した責任であると思います。

平成18年11月7日   ご意見・ご感想は   こちらへ    トップへ戻る   目次へ