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日中の戦略的互恵関係

 日中の「戦略的互恵関係」と言う言葉が使われていますが、単に互恵関係、友好関係と言わず、「戦略的」の3文字をつけるのはなぜでしょうか、それは明らかに第三国の存在を意識した表現であると思います。そしてその第三国とはアメリカのことだと思います。

 「戦略的」互恵関係とは、本当の友好関係とは多少ニュアンスが異なり、打算的な友好関係と言う印象を受けますが、現在の中国が民主主義とは無縁の独裁国家である以上、中国は日本が真に友好関係を結ぶべき相手、あるいは結べる相手ではなく、日中関係が打算的・戦略的な友好関係に止まるのはやむを得ないと思います。

 今の日本にとって、
中国は「チャイナカード」としてアメリカに利用されないことが重要です。中国を対米カードとして使うことが出来ればそれに越したことはありませんが、それが無理だとしたら、少なくともアメリカがわが国に対して、中国カードを切ることを防止するだけで十分だと思います。日中の戦略的互恵関係の構築はそのために有効です。

 今後、中国の存在感が増すにつれて、世界各地で異質な独裁国家中国に対する嫌悪感が高まる可能性があります。このときに日本が中国の友好国であると認識されるのは、マイナス以外の何ものでもありません。われわれは、かつてナチスドイツと同盟を結んだ愚を繰り返してはなりません。その意味でも、わが国は中国との距離を適切なものとするために、細心の注意が必要だと思います。

平成21年12月19日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ