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アメリカの人質“見殺し”を機に、日本の拉致問題を考える


 アメリカは「イスラム国」に捕らえられた、自国民の二人の人質ジャーナリストに身代金を支払うことなく、“見殺し”にしました。大変非情な話ですが、アメリカ国内ではこの政権の判断に批判は全くないようです。犠牲となった二人は大変気の毒ですが、映像から見る限り「毅然」としているようにも見えました。
 
 身代金目的のテロリスト誘拐犯人に、身代金を支払ってはならない、要求に屈してはならないというのは正しい判断だと思います。人の命が尊いことは言うまでもありませんが、犯人の要求に屈することは、将来より大きな悲劇を招来することが確実です。

 翻って日本の“拉致問題”を考えるとどうでしょうか。北朝鮮による日本人拉致は必ずしも身代金その他の目的のための拉致・誘拐と同じではありませんが、現在の日本と北朝鮮の交渉に於いては、拉致被害者は北朝鮮が日本政府の制裁解除をはじめとする要求を実現するための、人質のような状況になっていることは否めません。
 拉致事件は北朝鮮という国家による犯罪であり、現在行われてている日本政府と北朝鮮政府の交渉は、
誘拐犯人との交渉そのものであることを忘れてはなりません。

 現在北朝鮮による再調査がされていますが、そもそも、北朝鮮のような独裁国家に於いて、トップの独裁者はすべてを掌握できるはずで、今更調査すべき事があるとは思えません。彼らはどこまで本当のことを言うか、絶対にばれない作り話をどのように組み立てるか、証拠隠滅に抜かりはないかを思案しているだけです。再調査などは茶番劇に過ぎません。

 被害者とその家族には大変気の毒ですが、このような犯罪者との交渉で日本政府が何らかの譲歩をして、対朝鮮半島外交を歪めるように事があってはならないと思います。
 日本政府が北朝鮮の非核化、対中国、対韓国外交を見据えて交渉しているなら別ですが、それならば、
「家族の高齢化」、とか「残された時間がない」などと、自分で自分を縛るような言動はやめた方が良いと思います。

平成26年9月6日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ