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「慰安婦」を「性奴隷」と言い換えたアメリカが、「拷問」を「過酷な尋問」と言い換えている ―自国の「拷問」問題に沈黙するニュー・ヨークタイムズなどに、日本の“慰安婦問題”を云々する資格があるのか―


 12月10日と12月11日に、NHKはテレビのニュース番組で次のように報じていました。
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ニュース詳細   (NHK)

米議会が報告書「CIAの過酷な尋問 違法行為も」
12月10日 11時15分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141210/k10013858881000.html

米議会が報告書「CIAの過酷な尋問 違法行為も」

アメリカ議会は、同時多発テロのあと、ブッシュ前政権のもとでテロ容疑者に行われた
過酷な尋問について、違法な行為が一部であったとしたうえで、正確な情報を得るための効果的な手法ではなかったと結論づける報告書を公表しました。

アメリカ議会上院の情報特別委員会は、2001年の同時多発テロのあと、ブッシュ前政権のもとでCIA=中央情報局がテロ容疑者に行っていた過酷な尋問について、5年半にわたって調査し、9日、報告書を公表しました。
報告書では、CIAが容疑者から自白を引き出すため、
顔に大量の水を注ぐ「水責め」1週間以上にわたり睡眠を妨害する行為など過酷な尋問の実態を記し、39人の容疑者にこうした取り調べを行ったとしています。
そのうえで過酷な尋問は一部が
法律を逸脱していたほか、正確な情報収集の成果に結びついておらず効果的な手法ではなかったと結論づけています。
さらに、CIAが過酷な尋問の実態や成果をホワイトハウスや議会などに正確に報告していなかったなどと批判しています。
情報特別委員会のファインスタイン委員長は9日、議会上院で「一部は
拷問だった。今回の報告書はアメリカが、こうした行為を2度と行わないというメッセージを発するものだ」と述べ、報告書公表の意義を強調しました。
しかし、アメリカ政府は、拷問の実態が明らかになったことで、中東などでアメリカに対する反発が高まることを懸念しており、大使館や海外のアメリカ軍基地に対して、テロなどの不測の事態に備えて厳戒態勢を取るよう指示しています。

議会上院の情報特別委とは
オバマ大統領は、2009年の就任直後から人権を侵害しているとして国際社会の強い批判を受けてきた、グアンタナモ収容所の閉鎖を掲げるとともに、CIA=中央情報局がテロ容疑者に行ってきた過酷な尋問を拷問だとして禁止することを打ち出し、前の
ブッシュ政権との決別を鮮明にしました。
こうしたなか、2009年3月から、CIAの過酷な尋問について調査を開始したのが議会上院の情報特別委員会です。
情報特別委員会は、CIAなどの情報機関がアメリカの憲法や法律にのっとって正しい諜報活動を行っているか監督する役割を担い、内部文書の提出を命じたり情報機関の当局者を呼び出したりする権限を持っています。
15人の議員からなり、このうち上院で多数派の民主党が8人、共和党が7人で、民主党のファインスタイン議員が委員長を務めており、オバマ民主党が調査を主導してきました。

「報告書」機密文書から公開へ
調査はCIAなどから提供された電子メールや公電なども含む
630万ページにわたる文書を委員会が調査し、およそ6700ページの報告書にまとめ、今回、525ページの要約版が公開されました。
報告書は公開される義務はなく、政府によって機密文書に指定されていましたが、アメリカ政府高官によると、ことし初め、情報特別委員会からホワイトハウスに機密指定を解除するよう打診があり、オバマ大統領が公開することを決断したとしています。
その結果、報告書全体の
93%について、機密が解除されたということです。
野党・共和党を中心に、報告書を公表すればアメリカの国益を危機にさらすといった批判や懸念が根強くありましたが、オバマ大統領は、拷問などの手法を使った負の遺産を公表することで、前のブッシュ政権時代の行き過ぎた手法に対する再発防止への決意を国内外に示すねらいがあるものとみられます。

米大統領「拷問は二度としない」
オバマ大統領は9日、発表した声明で、「残酷な方法による取り調べは、アメリカの
価値観にそぐわず、テロとの戦いや安全保障上の国益に合致しない」としています。
そして、「拷問による取り調べは、アメリカの国際社会での地位に深刻な打撃を及ぼし、同盟国と共に国益を追求していくことを困難にした」として、大統領の責任で拷問を禁じ、二度と使うことはないと強調しています。
そのうえで、「完璧な国家などない。しかし、アメリカの強さは、率直に過去と向き合い欠点をただすことだ」として、報告書を公表することで、ブッシュ前政権時代に行われた行き過ぎた行為の再発を防止したい考えを示しました。

CIA長官「間違いを犯した」
CIAのブレナン長官は9日、声明を発表し「容疑者の拘束と尋問の計画には欠陥があり、われわれは間違いを犯した」と過ちを認めました。
その一方で、議会の報告書が「過酷な尋問は、正確な情報を得るための
効果的な手法でなかった」と結論づけたことについては、「機密情報が得られテロ計画を未然に防いだこともある」と反論したほか、CIAが議会に対し、意図的に事実をゆがめて報告していたという指摘にも同意できないなどと主張しています。

人権団体「違法尋問の徹底捜査を」
ロンドンに本部を置く国際的な人権団体、アムネスティ・インターナショナルは、今回の報告書について、違法な尋問を行った関係者に対する徹底した捜査を求めるとする声明を発表しました。
声明では「
国連の拷問禁止条約では、いかなる場合においても拷問は正当化できないとされており、拷問を許可したり実施したりした関係者は捜査されなければならない」として、違法な尋問を行った関係者を厳しく追及するよう求めています。
そのうえで、アメリカ政府には「CIAで起きた人権侵害のすべてを明らかにする必要がある」として、今回は
公開されなかった報告書の一部を含め、すべて調査結果を明らかにするよう求めています。
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ニュース詳細   (NHK)
米政府“拷問”刑事責任問われず
12月11日 7時54分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141211/k10013886291000.html

米政府“拷問”刑事責任問われず

アメリカ議会が、同時多発テロのあとブッシュ前政権の下でテロ容疑者に過酷な尋問が行われ、一部に違法な行為があったとする報告書を公表したことについて、ホワイトハウスの報道官は、
刑事責任については司法当局の結論が出ているとして、アメリカ国内で関係者が責任を問われることはないという見方を示しました。

アメリカ議会上院の情報特別委員会は、2001年の同時多発テロのあと、ブッシュ前政権の下で行われたCIA=中央情報局によるテロ容疑者に対する過酷な取り調べについての報告書を公表し、その一部に違法な行為があり効果的ではなかったと結論づけました。
これについて、ホワイトハウスのアーネスト報道官は10日の記者会見で、「大統領は、報告書に記された取り調べの方法は、アメリカの
道徳の権威を傷つけると結論づけた」と述べ、報告書を公表した正当性を強調しました。
そして、拷問による取り調べは法律に違反するのではないかという質問に対しては、「
数年前に検察官が検討し、個人を起訴するだけの十分な証拠がないという結論に達した」と述べ、アメリカ国内で関係者が刑事責任を問われることはないという見方を示しました。
また、報告書の公表に合わせて中東などでアメリカに対する反発が高まるという懸念が出ていることについて、アーネスト報道官は「大統領の指示でアメリカの施設と関係者を守るため必要な対策を強化した」と述べ、世界各国のアメリカ大使館やアメリカ軍基地で万全の対策を取っているとしています。
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 アメリカは
630万ページにも及ぶ文書を調査をして、自国の政府機関の公務員の犯罪行為の詳細を明らかにしていながら、刑事事件として起訴するに足りる証拠がなかったとは全く信じられません。被害者への聴取はしたのでしょうか。
 違法行為と認めるのであれば、被害者に対する
「謝罪」「賠償」は避けられません。被害者の証言を得れば、有罪の立証は容易であると思います。何の説明もなしに「証拠がない」というのは、まず「刑事責任を問わない」と言う前提ありきの調査だったのではないでしょうか。

 拷問は
価値観の問題でも道徳的な問題でも無く、明白な犯罪行為です。国家(大統領)が関与したことが明白な犯罪行為の責任の所在を追及することなく、責任者を隠蔽するのは法治国家人権国家のすることではありません。
 
ニューヨーク・タイムズワシントン・ポストなどの有力紙はなぜ、厳しく追及しないのでしょうか。アメリカのマスコミが責任者の処罰を求めているという報道は私の知る限り皆無です。

 ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストの両紙は、いわゆる
「慰安婦問題」では証拠がないにもかかわらず、慰安婦を「性奴隷」と断定し、強制を否定する日本政府、安倍総理を「歴史の粉飾」などとして不当な非難を繰り返しています。

安倍政権が“火遊び”…「日本における歴史のごまかし」の題で社説 NYタイムズ
http://www.sankei.com/world/news/141205/wor1412050021-n1.html

「性奴隷」謝罪に米紙関心 読売英字紙の慰安婦報道…「安倍主導の中起きた」「中韓刺激は確実」 ワシントン・ポスト
http://www.sankei.com/world/news/141129/wor1411290026-n1.html

 そもそも明白な
「拷問」に対して、「過酷な尋問」などと歪曲した表現を使うこと自体が真実の報道からかけ離れていると思います。真実はアメリカ政府が公表した以上に残酷なものであった可能性は否定できません。他人(日本)に対して厳しい態度で臨む者は、自己に対してはそれ以上に厳しくあるべきです。

 かつてイギリスの司法当局はイギリス訪問中のチリの
ピノチェット元大統領を、チリ国内での弾圧行為を理由に逮捕したことがあります。スペインの司法当局がチベットでの弾圧を理由に、ICPOを通じて中国の江沢民元国家主席李鵬元首相両名の逮捕を請求したこともあります。
 「拷問」という明白な国際法違反行為を承認したブッシュ大統領がイギリスを訪問したら逮捕されるのでしょうか。今後ブッシュ大統領は気軽に海外旅行が出来なくなるのではないでしょうか。

平成26年12月13日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ