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日韓の核保有は「(地域を)とてつもなく不安定化させることになる」か −アメリカが日本防衛を放棄すれば、日本の核武装は選択肢の一つ−


 3月31日の産経ニュースは、「米大統領報道官、日韓核保有『米政策と逆』 トランプ氏発言を批判」と言う見出しで、次のように報じていました。
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産経ニュース 2016.3.31 10:46

米大統領報道官、日韓核保有「米政策と逆」 トランプ氏発言を批判

 アーネスト米大統領報道官は30日の記者会見で、大統領選共和党指名争いで首位の実業家トランプ氏が日本と韓国の核保有を容認する姿勢を示したことについて「米国が長い間追求し、国際社会が支持してきた政策と正反対だ」と批判した。

 アーネスト氏は米国の目標は朝鮮半島の非核化であり、
日韓の核保有は「(地域を)とてつもなく不安定化させることになる」と指摘。「北朝鮮の核兵器開発に口実を与えるだけで、まったく道理にかなわない」と語った。(共同)
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 アーネスト報道官は、「日韓の核保有は『(地域を)とてつもなく不安定化させることになる』」と言っていますが、果たして単純にそう考えて良いものか多少の疑問があります。

 歴史を振り返ると、第一次大戦が終わってその21年後に第二次世界大戦は勃発しましたが、その後は
第二次世界大戦後71年経った今日に至るも、第三次世界大戦が起きなかったのはなぜでしょうか。それは核兵器のおかげと言って良いと思います。核戦争の恐怖が第3次世界大戦を未然に防いできたのです。

 このことは地域の紛争についても当てはまります。
 
インドとパキスタンは永年宿命的な対立と軍事的緊張の元にあり武力衝突もありました。そしてその後両国は核武装に至りましたが、それによって両国の緊張が高まったとか、戦争の危機が増したとかの報道はありません。緊張が緩和したわけではないかも知れませんが、両国の核武装が武力衝突の歯止めになっているとも言えます。

 
中国とインドの関係についても同じことが言えます。両国はカシミール地方の帰属を巡って武力衝突を繰り返していましたが、中国に遅れてインドも核武装した結果、武力衝突の危険は高まったとは言えず、むしろ減少したと言えると思います。

 逆説的な言い方になりますが、その意味では
核兵器は平和に貢献したとも言えます。ただし、“イスラム国”のような集団が核武装すれば話は別ですが、日韓両国の核武装は「インド・パキスタン」、「中国・インド」のケースと同様に、緊張の激化には至らない可能性もあると思います。

 ただし、それがアメリカの北東アジア地域に対する支配を脅かし、
アメリカにとって好ましいかどうかという観点から、好ましくないということはあり得ると思います。

平成28年3月31日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ