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アメリカの核政策は北朝鮮とイランに対してダブル・スタンダード

 2月14日の読売新聞と、2月21日の産経新聞はそれぞれ下記のように報じていました。
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米軍司令官 「北の核放棄 可能性低い」
2019/02/14 05:00 読売

【ワシントン=大木聖馬】米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官は12日、上院軍事委員会に提出した書面で、「北朝鮮がすべての
核兵器や製造能力を放棄する可能性は低い」との認識を示した。

 27〜28日にベトナムの首都ハノイで開かれる2回目の米朝首脳会談には期待感を示す一方、「部分的な非核化をすることで、米国や国際社会から譲歩を引き出そうとしている」と北朝鮮の狙いを分析した。

 また、北朝鮮が昨年5月に爆破した北東部・豊渓里プンゲリの核実験場について、「元の状態に戻すことができる」との見解を示した。その上で「実質的な進展を図るために多くのことがなされる必要がある」と強調した。

 米国の核専門家シグフリード・ヘッカー・米スタンフォード大名誉教授らが11日に公表した報告書は、北朝鮮が2018年も
プルトニウムや濃縮ウランの製造を続けたと指摘した。17年に推計約30発とみられていた保有核弾頭数が、18年には35〜37発に増えた可能性があるとしている。
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トランプ氏、米朝会談「これが最後とは思わない」
2019.2.21 08:40 産経

 【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米大統領は20日、ホワイトハウスで記者団に対し、今月末にハノイで行われる北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との2度目の首脳会談に関し「これが最後の会談になるとは思わない」と述べ、今後も会談を重ねる意向を明らかにした。トランプ氏は19日には
「非核化を急がない」とも語っており、金正恩氏に早期の非核化を強く迫らない米政権の交渉姿勢が改めて鮮明となってきた。

 トランプ氏はまた、北朝鮮が非核化措置と引き換えに制裁解除を求めていることに関し「私も喜んでそうしたいところだが、それには(北朝鮮が)何か意味のあることをしなくてはならない」とし、北朝鮮に具体的な非核化措置の履行を促した。

 トランプ氏はこの日、「制裁は完全に維持されており、解除していない」と指摘したものの、この日の発言は、「非核化実現まで制裁を緩和しない」としてきた従来の立場とは裏腹に、非核化に向けた前進が確認できれば
制裁の段階的緩和に踏み切る余地もあるとのメッセージを北朝鮮に送り、北朝鮮の譲歩を促した可能性もある。

(以下略)
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 現在がこの調子であれば、時間が経過すればますます
北朝鮮の非核化は困難となり、北朝鮮の核保有国は既成の事実化するでしょう。トランプ大統領の日本軽視の現実を直視すべきです。彼だけでなく、アメリカ人の多くはアメリカに届かない核であれば、黙認する可能性が高いと思います。もしかしたら、日本に対する核の脅威はアメリカにとってデメリットだけではないと考えているのかも知れません。

 これに対して日本はどうすべきか。一つはアメリカの核政策が
北朝鮮とイランに対してダブル・スタンダードである事を指摘すべきだと思いとます。未だ核実験をせず、核保有の意思もないと主張しているイランに対して、欧州諸国を交えた合意を破棄して厳しい制裁を科し、日本など域外国にも同調を強要する厳しい姿勢を取っているのに対して、現実に核を保有している北朝鮮に対して、「非核化を急がない」とは、とても同一人物の言うこととは思えません。

 日本政府、安倍総理の口からトランプ大統領を「ダブル・スタンダード」と指摘するのは、リスクがあると思いますが、そうであればこそ、
日本のマスコミ、民間の機関、団体は声を上げるべきだと思います。

 ちなみに安倍総理は昨日のトランプ大統領との電話会談で、“拉致問題”での協力を強く求めたようですが、彼は今の日本にとって何が一番大事かと言うことが分かっているのでしょうか。彼はいつものように“負け”を“引き分け”に見せることしか考えていないのではないでしょうか。

平成31年2月21日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ