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トランプ大統領の3泊4日の日本国賓訪問の狙い   (掲示板 No835より転載)

 6月23日の日経新聞は、「トランプ氏が金正恩氏に親書 『素晴らしい内容』と満足」と言う見出しで、次のように報じていました。
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トランプ氏が金正恩氏に親書 
「素晴らしい内容」と満足
北朝鮮 米朝首脳会談 朝鮮半島 北米 2019/6/23 8:37 日経
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46469920T20C19A6000000/

【ソウル=恩地洋介】北朝鮮の朝鮮中央通信は23日、
金正恩(キム・ジョンウン)委員長がトランプ米大統領から親書を受け取ったと報じた。金正恩氏は「素晴らしい内容が盛り込まれている」と満足の意を表明。「トランプ大統領の政治的判断能力と並外れた勇気に謝意を示す。興味深い内容を慎重に考えてみる」と語った。親書の内容や送られてきた日付は伝えていない。

 2月末の米朝首脳会談の決裂後、米朝の非核化交渉は膠着している。トランプ氏は金正恩氏への親書で米朝関係について、何らかの
前向きな提案をした可能性がある。

 
金正恩氏も6月10日、シンガポールで開いた米朝首脳会談から1年となるのに際し、トランプ氏に書簡を送った。トランプ氏は「とても温かく、素晴らしい手紙だ」などと語っていた。

(以下略)
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 トランプ大統領と金正恩はお互いに相手のことを、
歯が浮くような褒め言葉で、称賛しあっていますが、トランプ大統領の安倍に対する「シンゾー」日本友好訪問も、似たような一面があるのではないでしょうか。

 トランプ大統領は5月の25日から28日までの3泊4日で日本を国賓訪問し、天皇陛下との
晩餐会、安倍総理とゴルフ大相撲観戦特別杯の授与などと、友好行事を重ねました。

 日本側の認識は、これだけ
大歓迎をしたのだから、トランプ大統領も通商問題などで、日本には余り無理は言ってこないだろうと言う、甘い認識だと思いますが、トランプ大統領はそれほど甘くはないと思います。

 トランプ大統領は日本の認識とは
反対に、大した用事も無いのに、3泊4日で日本を国賓訪問し、あれだけ多彩な友好行事に付き合ってやったのだから、日本は感謝して当然だ。経済交渉においては、日本はその分アメリカの要求に譲歩するだろう、譲歩して当然だと言う認識だと思います。

 それが双方の認識が一致せずに、
すれ違いが生じてしまったのが、イラン問題だと思います。
 安倍総理の
イラン訪問の経緯は、今ひとつはっきりしませんが。トランプ大統領としては、自分の日米友好サービスの見返りに、日本側がアメリカ対イランの局面で、アメリカのために一肌脱ぐと言う認識があったのでは無いでしょうか。

 それにも拘わらず、ホルムズ海峡における
日本のタンカー攻撃事件で、「イランによる攻撃である」というアメリカの断定に、日本が異を唱えて同調しなかったのは恩知らずだという思いがあるのではないでしょうか(イギリスは直ちに同調しています)。
 それが、「日本はペルシャ湾においては、自国の
船舶の安全確保は自分でするべきだ」、「日米安保条約は、アメリカには日本防衛の義務があるのに、日本にはアメリカ防衛の義務が無く、不平等だ。破棄も考えた」の発言に繋がったのではないかと思います。

 安倍総理の
「皇室の政治利用」と言われてもおかしくない、トランプ大統領の国賓訪問でしたが、安倍総理・トランプ大統領の思惑は結果として実らず、早くもその印象は薄れつつあると思います。

令和元年6月27日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ