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ミャンマーのクーデターに対する国連や欧米の圧力

 2月2日の読売新聞は、「『民主化後退なら制裁』
バイデン氏警告、中国はミャンマー国軍への非難避ける」と言う見出しで、次の様に報じていました。
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「民主化後退なら制裁」バイデン氏警告、中国はミャンマー国軍への非難避ける
2021/02/02 11:30  読売
 【ワシントン=横堀裕也、バンコク=津田知子】米国の
バイデン大統領は1日、クーデターで政権を転覆させたミャンマー国軍に対し、「民主主義や法の支配への移行プロセスに対する直接的な攻撃だ」と声明で非難した。「民主化が後退すれば、我々は直ちに制裁の見直しを行う」と、経済制裁などの復活も警告した。

 国軍は1日、事実上の政権トップ、
アウン・サン・スー・チー国家顧問や、ウィン・ミン大統領ら与党・国民民主連盟(NLD)幹部らを拘束した。バイデン氏は、「国民の意思を覆したり、信頼できる選挙結果を消し去ったりする目的で武力を用いてはならない」と訴えた。

 バイデン氏は国軍に、権力を放棄し、スー・チー氏らを
解放するよう求め、各国には、「国際社会は声を一つにして圧力をかけるべきだ」と呼びかけた。米国はかつて、ミャンマーに民主化を促すため経済制裁を続けてきたが、オバマ政権が2016年に解除を決めた。国軍が態度を改めなければ、米政府は制裁を再び発動する可能性がある。

(中略)

 緊迫するミャンマー情勢を受け、
国連安全保障理事会は2日午前(日本時間3日未明)、非公開会合をオンラインで開き、対応を協議する。2月の議長国を務める英国のバーバラ・ウッドワード国連大使は、「安保理の目的は民主主義の回復、拘束された人々の解放、クーデターの終結だ」と強調した。「あらゆる措置を検討したい」とも語り、制裁について議論することも示唆した。

 ただ、常任理事国の
中国は、協力関係にあったミャンマー国軍への非難を避けている。安保理が結束して国軍に強い対応を打ち出せるかは不透明だ。
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国連欧米の各国はミャンマーのクーデターを非難していますが、今回も以前もミャンマーの軍事政権は、近隣諸国に対して脅威となっていた事はありません。
 
中国のように、国民の政府への不満のはけ口として、近隣諸国に対して挑発・武力行使に出ているわけでもなく、あくまでミャンマーの内政問題に止まっています。それなのに、なぜ国連や欧米諸国は圧力をかけるのでしょうか。

 世界には
中国以下、選挙をしない国や、大規模な不正選挙がまかり通っている国や、選挙結果を尊重せずに踏みにじる国はミャンマーだけではないと思います。

 例えば
サウジアラビア選挙をしたという話は聞いたことが有りません。アラブの君主制国家の中には、他にも選挙をしない国があるし、したとしても形式的に過ぎない例が少なくないと思います。

 
国連や欧米を中心とした各国は、中国やサウジアラビアのように建国以来一度も選挙をしたことがなく、今後もするつもりが全く無い国に対しては、何の制裁も圧力もかけず、他方、選挙はやったもののその結果に従わなかったり、覆した国には制裁を科すというのは、どう考えても公平とは思えません。今回の事態は国連が出る幕ではないと思います。
 
 では
なぜミャンマーだけ特別扱いなのでしょうか。それはスー・チーさんはミャンマーのかつての宗主国イギリスと縁が深く、イギリス(欧米)にとって大事な人物だからと言うだけではないのでしょうか。

令和3年2月3日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ