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日本政府は「中国軍ハッカーの日本の防衛システム侵入」だけを問題にしているが、日本政府が把握していないその事実をアメリカ政府が把握していることに問題は無いのか

 8月8日、8月9日の読賣新聞は、「中国軍ハッカーが日本の防衛システム侵入と米紙報道、浜田防衛相は『秘密漏えい確認していない』」、「米国防総省『日本との情報共有自信』…中国の機密侵入巡り」と言う見出しで、次の様に報じていました。
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中国軍ハッカーが日本の防衛システム侵入と米紙報道、浜田防衛相は「秘密漏えい確認していない」
2023/08/08 11:28 読売
 【ワシントン=田島大志】
米紙ワシントン・ポストは7日、中国軍のハッカー防衛機密を扱う日本政府のコンピューターシステムに侵入していたと報じた。米国家安全保障局(NSA)2020年秋に発見し、日本政府に不正アクセスの重大性を警告した。サイバー対策を強化しなければ、日米の情報共有に支障が出る可能性があるとも指摘した。

 複数の元米政府高官の話として伝えた。発覚直後、事態を重くみた
ポール・ナカソネNSA長官と、当時のマシュー・ポッティンジャー大統領副補佐官(国家安全保障担当)が急きょ来日し、日本政府に対応を求めたという。当時の防衛相に警告し、首相にも報告された。

 ハッカーは
日本政府のシステムに深く、 執拗しつよう に侵入し、自衛隊の計画や能力、欠点の評価などを得ようとしていたという。元米軍高官は同紙に対し、ハッカーの侵入は「衝撃的なほどひどかった」と語った。

 日本政府は、米側から指摘を受けた後、サイバー防御の強化策を施した。20年9月に安倍首相が退陣し、菅内閣が発足したが、同紙はどちらの政権での出来事かは特定していない。

 この不正アクセスはトランプ前政権が指摘し、バイデン政権にも引き継がれた。
オースティン国防長官は日本側に対し、防御策を強化しなければ日米間の防衛情報共有が遅れると指摘した。

 同紙の報道を受け、
浜田防衛相は8日午前の記者会見で、「サイバー攻撃で防衛省が保有する秘密情報が漏えいした事実は確認していない」と述べた。侵入があったかどうかについても、「防衛省・自衛隊の対応能力を明らかにすることになる」として言及を避けた。
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 浜田防衛相の
「漏洩を確認していない」というのは、それ以前に「侵入」を確認していない(出来ていない、気付いていない)と言うだけのことで、何の意味もなく弁解にもなりません。
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米国防総省「日本との情報共有自信」…中国の機密侵入巡り
2023/08/09 15:00 読売

 【ワシントン=田島大志】
米国防総省のサブリナ・シン副報道官は8日の記者会見で、中国軍のハッカーが日本政府の防衛機密を扱うシステムに侵入していたとの米紙報道を巡り、「我々は日本との関係や情報共有に自信を持っている。今後も継続する自信がある」と述べ、日米の防衛協力に影響しないとの立場を示した。

 シン氏は「日本が安全保障上の懸念に対処できると確信している」とも強調し、今後の日本政府のサイバー防御策の強化に期待した。
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アメリカは中国以上に日本へのハッキングの事実関係を把握していることが分かります。これはこれで恐ろしいことではないのでしょうか。

 8月14日のスポーツニッポン新聞社は「自民・
佐藤正久議員 中国軍ハッキング情報に『防衛省が気付かなかったというのが1番の問題』」と言うタイトルで、下記の通り佐藤正久議員の意見を報じていました。
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自民・佐藤正久議員 中国軍ハッキング情報に「防衛省が気付かなかったというのが1番の問題」
2023.08.14
スポーツニッポン新聞社 の意見
自民・佐藤正久議員中国軍ハッキング情報に「防衛省が気付かなかったというのが1番の問題」 (msn.com)


佐藤正久議員
© (C) スポーツニッポン新聞社

 
元自衛官で“ヒゲの隊長”こと自民党の佐藤正久参院議員(62)が13日、フジテレビ「日曜報道 THE PRIME」(日曜前7・30)に出演。中国軍のハッカーが機密情報を扱う日本の防衛ネットワークに侵入したことが2020年秋に発覚し、米国が日本に懸念を伝えたとされる問題についてコメントした。

 司会のフジテレビ解説委員の松山俊行氏が「サイバー攻撃自体はあった可能性は否定できないですか?」と聞くと、佐藤氏は
「否定できないと思います。防衛省がハッキングされていたということに気付かなかったというのが1番の問題。米国から指摘された。米国は分かったけども自衛隊は分からなかったと。これが1番の問題」と指摘。

(以下略)
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 佐藤氏は元自衛官で自民党の有力防衛議員ですが、
日本の防衛ネットワークが中国人のハッカーに侵入されて情報が筒抜けになっていたにもかかわらず、日本政府が気付いていなかった事一番の問題としています。
 事件の情報が、
アメリカには筒抜けになっていたことには何の危機感もないのでしょうか。

令和5年8月14日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ