E79
高市発言は「重大な転換か否か」ではなく、その方向が正しいか誤りかで議論すべき
             -日中の反目を望んでいるだけのアメリカ-

 3月19日の読売新聞は「米情報機関報告書の台湾有事巡る『日本の首相としては重大な転換』分析、木原官房長官『指摘は当たらない』と反論」と言う見出しで、次の様に報じていました。
-------------------------------------------------------------------------------------
米情報機関報告書の台湾有事巡る「日本の首相としては重大な転換」分析、木原官房長官「指摘は当たらない」と反論 
 2026/03/19 21:22 読売


向井ゆう子
 【ワシントン=向井ゆう子】米情報機関を統括する国家情報長官室は18日、世界の脅威に関する年次報告書を発表した。台湾有事が集団的自衛権行使の対象となる「存立危機事態」になり得るとした昨年11月の高市首相の国会答弁について、「重大な転換」との見方を示した。首相は、従来の政府の立場を変更するものではないと説明している。

高市首相
 報告書は、この答弁について「日本の制度上、重みを持つ。現職の日本の首相として重大な転換を意味する」と指摘した。日本の主張には言及しない一方、中国側の立場を詳述し、中国が首相の発言を「事態を悪化させ、1972年の日中共同声明と78年の日中平和友好条約への違反だと受け止めた」と記した。

 「中国は高市首相の発言が台湾独立運動を後押しすることを懸念している可能性が高い」とも分析した。沖縄県・尖閣諸島周辺で中国軍などの活動が活発化する可能性にも触れ、「事故や誤算のリスクを高め、意図せぬエスカレーションを招く恐れがある」と懸念を示した。

 中国が目指す台湾統一については「中国指導部は現時点で、2027年に台湾侵攻を実行する計画を立てておらず、統一達成のための具体的な期限も定めていない」とした。中国が「可能であれば武力を行使せずに統一を達成することを望んでいる」とも強調した。

(中略)

 木原官房長官は19日の記者会見で、米国家情報長官室が年次報告書で、高市首相の台湾有事を巡る国会答弁を「日本の首相としては重大な転換を示すものだ」と分析したことに対し、「指摘は当たらない」と反論した。

木原官房長官
 首相は昨年11月の国会答弁で、台湾有事が、集団的自衛権を行使する「存立危機事態」になり得ると発言した。木原氏は、存立危機事態に関し、「個別具体的な状況に即して政府が全ての情報を総合して判断するという政府の立場は、一貫している」と強調した。
---------------------------------------------------------------
 「重大な転換」と論じるなら、その転換が好ましい方向なのか、好ましくない方向なのかに当然言及するべきだ。しかるにその点に触れることなく「重大な転換」とだけの批判発言をするのはなぜか。「方向」は不問で、転換なら悪で、転換でなければ良いとでも言うのだろうか。

 この問題をめぐって日本と中国の対立が続いている中で、日本が中国の批判に対して「転換ではなく、継続である」と反論していることを考えれば、アメリカ側の発言は、本質では日本と中国のどちらも批判せず(出来ず)、日本批判(中国支援)の効果だけを目的とした発言と言わざるを得ない。
 歴史的に見てアメリカの立場は「日中対立アメリカの利益(日中友好はアメリカの不利益)」であり、それが今も続いていることを日本人は忘れてはならない。

 今回のアメリカの本心は“懸念”よりも、“期待”の方が大きい。

令和8年3月23日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ