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天安門事件と南京事件の犠牲者数

 5月19日の朝日新聞によると、アメリカ議会で来月4日に迎える天安門事件10周年を契機に、中国政府の人権侵害を非難し、事件の真相究明を求める決議案が、上下両院で提案されました。決議案は、天安門事件の犠牲者数が今も不明で、多くの民主活動家が拘束されている状況を指摘しているそうです。

 天安門事件では多くのデモ参加者が犠牲になりましたが、中国政府は死亡者がいたことを認めていません。平成8年12月10日、アメリカを訪問した中国の遅浩田国防相はワシントン市内の国防大学で講演し、「死者は一人も出なかった。誇張して伝えられている。当時、私は総参謀長だったから言えるが、天安門広場で命を失った人はなかった」と述べました。これに対して、アメリカ国務省のバーンズ報道官は、「事実に反する。歴史を書き換えることはできない」と厳しく批判しました。

 中国政府は、いわゆる南京事件(南京大虐殺)で、日本軍は30万人の中国人を虐殺したと、非難していますが、10年前の小規模な騒乱における犠牲者の数さえ正確に発表できない中国政府が、50年以上前の大規模な戦争と混乱の中での犠牲者の数を把握しているとは思えません。また、死亡者がいたことが明かであるにもかかわらず、それを否定するような中国政府の主張には、信憑性は全くないと言っていいと思います。

平成11年5月23日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ