E9
国連は台湾でも住民投票をするか

 東チモールで国連により、インドネシアからの独立の賛否を問う住民投票が実施され、独立派が圧勝しました。

 世界には東チモール以外にも、台湾、チベット、ロシアのチェチェン共和国、ダゲスタン共和国、トルコ、イラクのクルド人等、独立を求めて武装、非武装の闘争をしている人たちが数多くいます。そして、独立を求める人々が、それを阻止しようとする国によって弾圧されているのは、決して東チモールだけではありません。しかし、それらの地域で独立の賛否を問う住民投票が行われたこともなければ、国際社会(欧米諸国)でそれを求める声もありません。彼らは「独立派」とは呼ばれず単に「武装勢力」などと呼ばれる事さえあります。

 欧米諸国はなぜ小さな東チモールに、重大な関心を寄せるのでしょうか。それは、そこの住民の大半がキリスト教に改宗した人達であり、併合しようとする国、インドネシアがイスラム教の国だからであると思います。これが、もし反対に東チモールの住民がイスラム教徒で、併合しようとする国がキリスト教国であったなら、欧米諸国がこれ程この地域に肩入れすることはなかったでしょう。

 国連が東チモールに続き、他の地域でも独立の賛否を問う住民投票を実施するのなら、今回の投票結果は正義の勝利と言えなくもありません。しかし、東チモールでのみ投票が実施され、今後同じように独立を求めている他の地域で投票が行われないのならば、今回の独立派の勝利を正義の勝利とは呼べません。それは、キリスト教の勝利、ポルトガル植民地主義の勝利、西欧植民地主義の勝利に過ぎません。

 かつてインドは、インド独立後もポルトガルの支配が続いていたゴア、ジウを武力で解放しました。ポルトガル領のマカオは中国に返還されることになりました。世界各地に残っている、ポルトガル植民地主義の残滓は清算されて当然なのです。400年にわたって東チモールを支配し、島の住民分断のもととなったポルトガルの植民地支配を非難せず、インドネシアによる併合のみを非難するのは不当です。インドネシアがオランダから独立したときに、東チモールはインドネシアに返還されるべきだったのです。わが国がかつて植民地からの解放を助けた国インドネシアについて、アメリカやヨーロッパの国々と同じ立場で考えるのは間違っていると思います。

平成11年9月4日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ