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安倍総理、二階幹事長と相次いだ、「生前退位と女性天皇」発言


 安倍総理と自民党の二階幹事長が相次いで、天皇陛下の
「生前退位」「女性天皇」問題を併せて発言したことが、下記の通り読売新聞とNHKにより報じられました。
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政府有識者会議、生前退位問題の決着を優先
2016年9月6日7時10分 読売

 政府は、天皇陛下が「生前退位」の意向を示唆されたことを踏まえ設置を検討している有識者会議について、生前退位と公務の負担軽減策にテーマを絞る方向で調整に入った。

 
女性・女系天皇の容認や女性宮家創設など、安定的な皇位継承や皇族減少への対応策については検討を先送りし、退位問題の決着を優先させる。

 複数の政府関係者が明らかにした。有識者会議の設置時期については、9月中を想定していたが、「世論が落ち着いてから議論を始めた方がいい」(政府高官)として、10月以降とする案が浮上している。

 会議では生前退位を前提とせず、天皇が各種行事への出席などを続けられる公務のあり方や、摂政などを置いて国事行為などを代行することの是非などについても意見を求める方向だ。

 有識者会議の議論を受け、政府は法整備に着手する。生前退位を認める場合、制度化するための皇室典範改正でなく、現在の天皇陛下の退位だけを可能にする皇室典範の特別措置法制定を軸に検討している。早ければ来年の通常国会に関連法案を提出する方向だ。

 政府は、
女性・女系天皇を認めるべきかどうか、皇族女子が一般男性と結婚しても皇室に残れるように女性宮家を創設すべきかどうかについても議論してもらうことを検討したが、「慎重論が根強く、結論を出すのに時間がかかる」(首相周辺)として、退位問題に絞ることにした。
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自民幹事長 女性天皇に肯定的な考え示す
8月25日 17時59分 NHK

自民幹事長
女性天皇に肯定的な考え示す

 自民党の二階幹事長は、東京都内で記者団に対し、今は認められていない女性の皇位継承について、「女性が各界で活躍している中で、天皇だけが女性では適当でないというのは通らない」と述べ、肯定的な考えを示しました。

 この中で二階幹事長は、女性が皇位を継承することについて、「諸外国でもトップが女性の国がいくつかあるが何の問題も生じていない。日本にもそういうことがあってもよいのではないか」と指摘しました。
 そのうえで二階氏は「女性がこれだけ各界で活躍している中で、天皇だけが女性では適当でないというのは通らないと思う」と述べ、女性の皇位継承に肯定的な考えを示しました。
 また記者団が「先に天皇陛下が
『生前退位』の意向がにじむお気持ちを表明されたことも踏まえて、女性の皇位継承も合わせて議論することが望ましいか」と質問したのに対し、二階氏は「この機会に一緒にやれればいいだろうが、やれなければ切り離して考えればいい」と述べました。
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 安倍総理が、天皇陛下の「お気持ち表明」を受けて、「特別措置法の制定」を視野に検討を進めることを表明しました。
併せて「女性・女系天皇の容認や女性宮家創設など」については検討を先送りすることを明らかにしました。

 その少し前の8月25日には自民党の二階幹事長が、
突然、「女性天皇容認」の発言をしました。その時に記者に答える形で、「天皇陛下の『生前退位』の問題と併せて議論することが望ましい」との認識を表明しました。

 政府・与党のトップが
相次いで「生前退位」と「女性天皇」の問題を同時に、関連づけて考えているかのように発言しました。これは偶然とは思えません。

 8月8日に天皇陛下は「年齢と共に公務の負担が重く感じられるので、このまま終身天皇である事は止めたい」と言う意思表示をされ、国民の理解を求めました。
「女性天皇、女性宮家」のことなどは、一言も言っていません。
 周囲の人たちも、マスコミの報道でも、
女性天皇の問題を「生前退位」と関連づけたり、同じ時期に発言したり、論評したりする動きは皆無でした。

 それにもかかわらず、なぜ政府・自民党はわざわざ関連づけたり、関連づけていると受け取られるような発言を相次いでしたのでしょうか。
 天皇陛下の「生前退位」のご意向はかなり以前からのもので、宮内庁はそれを公表せず、政府も何も対応しなかったようです。なぜでしょうか。多分対応に苦慮するとか、陛下の希望には添えないという所だったのだと思います。
 「生前退位」のだけの問題であれば、摂政を置くなどの方法で対処のしようがあったと思います。天皇陛下も特別放送で、直接国民に訴える必要は無かったと思います。

 それが、天皇としては“越権行為”である特別放送に至ったのは、やはり話の
本筋は「女性天皇」、具体的に言えば「愛子内親王の皇位継承問題」だったのだと思います。
 現在の皇位継承順位は、皇太子殿下以下、第2位秋篠宮殿下、第3位悠仁親王殿下と決まっています。そこに、第2順位として愛子内親王を割り込ませようとすれば、それはまさに「クーデター」となります。

 天皇陛下は無謀にもそれを直接国民に訴えようとされたのではないでしょうか。さすがに政府もそれを容認するわけにはいきません。それで「お気持ち表明」の特別放送は
中途半端な印象を与える内容になったのだと思います。

 天皇陛下が「お気持ち表明」で「女性天皇」については何も語っていなかったのに、政府自民党のトップが突然、相次いで、「女性天皇」問題について発言したのは、何も知らない国民にとっては、
大変違和感があり不可解な展開です。日本のマスコミはその事情を知らないのでしょうか。
 
知らないはずがないと思います。マスコミがどちら側に立って判断しているかは分かりませんが、少なくとも国民の、読者の知る権利を侵害していることは明らかだと思います。
 日本が、「国境なき記者団」の
報道の自由度評価ランキングで、72位と下位である事はこういう所に原因があると思います。

平成28年9月9日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ