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生前退位しなかったタイのプミポン国王、生前退位を熱望している天皇陛下


 10月13日のNHKのテレビニュースは、「タイ プミポン国王が死去」と言うタイトルで、次のように報じていました。
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タイ プミポン国王が死去(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161013/k10010729021000.html

 世界で最も在位の長い国王として知られたタイのプミポン国王が亡くなりました。
88歳でした。たびたび政治の混乱が起きてきたタイの安定の要となってきた国王の死去はタイの政治や経済にも影響を与えるものと見られます。

 タイの王室庁は日本時間の13日午後9時前、声明を出し、プミポン国王が13日死去したと発表しました。
 プミポン国王は、1946年に18歳で即位して以来、国家元首として70年にわたって国を治め、世界で最も在位の長い国王として知られてきました。
 プミポン国王はタイの各地で貧困撲滅のための事業を王室主導で立ち上げるなどし、
国民の絶大な尊敬を集めてきたほか、日本の皇室とも親しい関係にあり2006年に行われた即位60周年を祝う式典には、天皇皇后両陛下が出席し、親交を深められました。

 タイでは、たびたび
軍事クーデターが起きるなど政治の混乱が繰り返されてきましたが、過去にはプミポン国王がみずから対立する政治勢力の間に入って仲裁を行ったこともあり、政治の安定に決定的な役割を果たしてきました。タイではおととしのクーデター以降、軍主導の暫定政権が続いていて、民政への復帰が課題となっています。政治の安定の要となってきた国王が死去したことは、今後のタイの政治にも何らかの影響を与えるものと見られます。

 また、タイは日本人に人気の旅行先であるほか、およそ4500社の日系企業が進出するなど日本との経済的な結びつきが極めて強い国で、経済にも影響が及ぶという指摘も出ています。後継の国王はまだ指名されていませんが、長男のワチラロンコン皇太子が有力視されています。

国民から
絶大な尊敬
 プミポン国王は、1927年にアメリカでタイ王室の王子の父と一般人の母の間に生まれ、幼少期をスイスで過ごしました。スイスの大学に在学中、当時の国王だった兄が突然亡くなり、1946年、
18歳でチャクリー王朝の9番目の国王に即位し、以降、国王としては世界で最も長く70年間にわたって国を治めてきました。

 プミポン国王は、タイの各地で王室主導で稲作や酪農など2000以上に上るプロジェクトを実施し、農村の振興や貧困対策に力を入れてきました。たび重なる政治危機の際には国家元首として
国をまとめる役割を果たし、1992年には軍部と民主化を求めるグループとの衝突が起きて多数の死傷者が出たことを受け、国王みずからが軍を背景にする当時の首相と民主化運動の指導者を呼び出して話し合いをさせ、混乱を鎮めました。こうしたことから、プミポン国王は国民から絶大な尊敬を集め、タイでは街の至る所に国王の肖像画や写真が掲げられています。

 プミポン国王は日本の皇室との関係も深く、1960年代には当時、皇太子だった天皇陛下から寄贈された淡水魚を食用としてタイ全土に広めたほか、日本のメーカーのカメラや自動車を長年愛用するなど、親日家としても知られてきました。

ワチラロンコン皇太子 ここ数年公務を代行
 ワチラロンコン皇太子はプミポン国王の長男で、1952年生まれの
64歳です。
イギリスやオーストラリアへの留学を経て1972年、
20歳のときに皇太子となりました。ワチラロンコン皇太子は空軍のパイロットの資格を持ち、みずから航空機を操縦することで知られています。
 
ここ数年は高齢で体調を崩していたプミポン国王の代理として、妹のシリントン王女とともに毎年恒例の王室の行事などさまざまな公務を代行しています。ワチラロンコン皇太子には、王位継承の資格をもつ王子が1人います。

タイのテレビ 国王死去発表
 タイのテレビ局は、13日午後6時50分(日本時間午後8時50分)すぎ、放送を白黒の画面に切り替えて女性アナウンサーが音声のみで国王が死去したという王室庁からの発表を伝えました。現地時間の午後7時すぎには、すべてのテレビ局の画面が切り替わり、黒いスーツ姿の男性アナウンサーが、王室庁の声明を改めて読み上げました。その後、白黒写真などを使ってプミポン国王の生い立ちと生涯を伝える映像がすべてのチャンネルで流されました。
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 報じられているとおり、タイのプミポン国王は18歳で即位以来70年にわたり在位し、生前退位することもなく、終身国王として国民の絶大な信頼尊敬を集め、政情が不安定で、たびたび軍のクーデターなど政治の混乱が起きてきたタイにあって、国家安定のとなってきました。

 一方わが国の天皇陛下は、
安定した国内政局の中で、ほとんど困難を経験することもなく、象徴としてされることは、地方視察などの公式行事に臨席されることが大半の日常を過ごされていますが、今は、生前退位」を熱望しておられます。

 陛下が生前退位の理由として挙げておられるのは、
高齢による公務への不安だけです。それ以外に、不安視される後継者としてのご長男と、問題視されるそのお妃への不安などがあるのかも知れませんが、いずれも公務と言うよりも家族の問題に過ぎないという見方も出来ます。

 現在のお立場が、
象徴で、国政に関する権能を有しないと言う点を鑑みれば、現行の関係法秩序を変更してまで、「生前退位」を強く求めるのは大変不可解です。やはり何か他意がお有りなのでしょうか。

平成28年10月20日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ