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ご自分の立場を勘違いされている天皇陛下 −天皇陛下 退位の制度化を要望…お言葉発表前 同級生に伝える−


 12月1日の読売新聞は「天皇陛下 退位の制度化を要望…お言葉発表前 同級生に伝える」と言う見出しで、次のように報じていました。
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天皇陛下 退位の制度化を要望…お言葉発表前 同級生に伝える
2016年12月1日15時0分 読売

 天皇陛下が今年8月、退位の意向を示唆したお言葉を発表する前、同級生に対し、退位の恒久制度化を望むような思いや退位後は次の世代に託す考えを伝えられていたことがわかった。

 陛下から直接、考えを聞いたのは、学習院の初等科から高等科まで、陛下の同級生だった明石元紹もとつぐさん(82)。7月21日夜、身の回りの世話をする宮内庁職員を通じ、自宅に電話があったという。

 陛下は、退位の意向について切り出し、「
過去譲位(退位)は数え切れないほどあった。長い歴史を考えれば、びっくりすることではないんだ」と説明された。

 大正天皇の摂政を務めた昭和天皇が、母親の貞明皇后が摂政設置に大変反対したために苦悩したことや、宮中に天皇と摂政それぞれのグループができることなどを挙げ、「
摂政はよくない」との思いも示された。

 天皇制について「国のための制度である以上、合理的で変わらないような形でないと意味がない」と述べ、自分だけ退位すればよいという考えではないことを伝えられたという。退位後は「次の世代に移ったら口を出さずに見ている」といい、お子さま方の人格を尊重していると明かされた。

 明石さんは、「陛下のお言葉には、高齢の天皇が亡くなるまでお務めを果たすことは理屈に合わないし、無理だというお考えがにじんでいた。いつの時代にも共通することで、陛下は問題提起をされたのだと思う」と話している。

 政府は、陛下に限って退位を可能にする特例法の制定を検討しているが、「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」による専門家16人からのヒアリングでは、5人が特例法を容認し、4人が皇室典範改正による制度化を求めるという結果だった。
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 ご自分の一身上のことだけに止まらず、あからさまに
皇室“制度”の改訂を要求するのは、明らかに象徴天皇としての一線を越えた政治的発言・行動で有り、看過すべきではありません。

 「過去や歴史」に言及して譲位を正当化されたり、「摂政は良くない」とか発言されていますが、今の皇室は「過去の」皇室とすべてが同じではありません。
「摂政」が良いか悪いかは、天皇陛下がお考えになることでも、決定することでもありません。天皇陛下は戦前の皇室と現在の皇室が本質的に異なることを理解されていないのではないでしょうか。

 また、
事前に“友人“に漏らして本来のお立場を逸脱した発言を伝えんとするのは、政治家のする裏工作・駆け引きのたぐいと変わるところがありません。象徴天皇にふさわしくないお振る舞いです。

 一体なぜこの問題がこのようにエスカレートしてしまったのでしょうか。一つには天皇陛下がご自分のお立場を
勘違いされていることから生じていると思います。

 
皇室に寄せられる国民の敬意、尊崇の念は、表面的には天皇陛下とそのご一家に対する敬意・尊崇の念という形を取りますが、これは天皇個人の背後にある皇室対するものであって、決して明仁天皇個人に対するものではないと思います。
 天皇陛下は
個人として選ばれて天皇におなりになったのではなく、あくまでお血筋によって天皇の位に就かれたのです。このことをお忘れになっているのではないでしょうか。

 国内巡幸に際して、沿道で
国民から寄せられる敬意・尊崇の感情はあくまで、天皇陛下の背後にある皇室に寄せられるものであって、決して明仁天皇陛下個人に対するものではないのです。

 このことを再度思い出していただければ、去る8月8日に
「個人として」と断った上で、一個人として以上の思惑が秘められたご発言を,「特別放送」を通じてなされたことが、いかに場違いなものであるか容易にご理解いただけると思います。そうすれば、今回の“生前退位”騒動は陛下の勘違いにより発生したものとして平穏に落着させることが出来ると思います。

平成28年12月4日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ