F110
アメリカにとって、日韓対立は悲報ではなく朗報 −日韓の懸案は解決するよりも、未解決であり続ける方が望ましい−

 7月20日の読売新聞は、「トランプ氏、
日韓仲介に意欲『「緊張高まっている』」と言う見出しで、次のように報じていました。
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トランプ氏、日韓仲介に意欲「緊張高まっている」
2019.07.20 11 時間前 読売

 【ワシントン=黒見周平、ソウル=岡部雄二郎】トランプ米大統領は19日、日本による韓国に対する輸出管理厳格化を巡り、韓国の文在寅ムンジェイン大統領から事態打開への協力を依頼されたことを明かし、仲介に意欲を示した。ホワイトハウスで記者団に語った。

 トランプ氏は「文大統領が私に関与できないかどうかを尋ねてきた。(日韓で)主に
貿易に関し、今多くの摩擦が起きており、日本は韓国がほしい物を持っているということだった。文大統領は好きだし、安倍首相はとても特別な男だ。もし私を必要とするのなら、関与する」と意欲を示した。

 ただ、トランプ氏は文氏に対し、「私はどれだけ多くのことに関与しなければならないのか。
北朝鮮問題にも関わり、あなたを助けている」と不満を伝えたとも指摘した。その上で、「願わくは日韓で解決してほしい。しかし、間違いなく緊張は高まっている」と話した。

 これに関連し、韓国大統領府は20日、文氏が先月30日にソウルでトランプ氏と会談した際、「最近の日韓の対立に関心を寄せてほしい」と述べていたことを明らかにした。大統領府は、対立解消のため、「外交的努力の一環として言及した」と説明している。
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 2015年12月28日、日本と朴槿恵政権下の韓国はアメリカの
オバマ大統領の関与(仲介)の元で、“慰安婦合意”をしたが、その後韓国の文在寅現大統領は、これを反故にし、合意の結果設立された「財団」も解散すると言う暴挙に出た。

 このような前科のある韓国大統領が、それについて
何ら弁明も説明もする事も無く、再び日韓の問題でアメリカの介入を求めるとは、にわかに信じがたい行動と言える。

 韓国の無法行動に対して、
日本は再三韓国に抗議しているが、アメリカは一言も発すること無く無言を貫いてきた。これは実質的に仲介(介入)し、両国の合意に深く関与してきた者として、極めて無責任と言える。

 このような事態の中で、
再度韓国がアメリカに仲介を依頼し、アメリカがそれを前向きに考えている現実を前に、我々日本人は両国に対して、不信の念を抱かざるを得ない。

 トランプ大統領が
北朝鮮に触れていることは何を意味するのか、彼はこの北朝鮮問題について韓国に譲歩を迫り、その見返りに韓国の為に日本の譲歩を取り付けようと考えているものと思われる。つまり日本だけが割を食う話である。 
 
 アメリカにとって、
日韓の対立は決して悲報では無く、むしろ朗報(チャンス)なのである。日韓の懸案は当事者解決するよりも、未解決であり続け、アメリカのコントロール下で一進一退のにらみ合いが続くことの方が望ましいのである。“竹島”はその好例である。韓国にとって日韓の問題は最優先の課題であるが、単独で日本と対峙する気力が無い為に、アメリカの介入を求めざるを得ず、その為の負担・犠牲を厭わない(アメリカの言うことをよく聞く)ことをアメリカは知っているのである。

 
“徴用工問題”にも、“レーダー照射事件”にも、アメリカが無言を守る理由はこのあたりにあり、今後これらの問題が、日本優勢(韓国劣勢)で推移し、韓国がアメリカに“SOS”を発信する事態になれば、必ず日本けん制の動きを見せると思われる。
 本質的には、
日本アメリカにとって現在でも基本的には警戒の対象であり、日本をけん制し、日本の足を引っ張る道具としての韓国の役割は、決して小さくは無いのである。

 では今後、安倍政権はどう対応すべきか。出来るだけアメリカの
介入を阻止すべきである。日韓の問題は根が深く、単に戦略物資の輸出入問題に止まらない。目先にとらわれて解決を急ぐことは、将来に禍根(アメリカにとっては禍根では無いが)を残し、同様な事態が繰り返される。トランプ大統領にはそう説明すべきである。
 また、アメリカが
強力に関与した“慰安婦合意”が文大統領によって、反故にされた件についても、はっきりと指摘して、アメリカの安易な介入に釘を刺すべきである。

令和元年7月20日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ