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カービー報道官が驚いた、尖閣をめぐるアメリカの不誠実な対応の歴史
2月28日の読売新聞は、「米国防総省報道官、沖縄県・尖閣諸島の『主権を巡る政策に変更はない』」と言う見出しで、次の様に報じていました。
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米国防総省報道官、沖縄県・尖閣諸島の「主権を巡る政策に変更はない」
20210228 1043 読売
【ワシントン=田島大志】米国防総省のジョン・カービー報道官は26日の記者会見で、沖縄県・尖閣諸島について「主権を巡る米国の政策に変更はない」と述べた。カービー氏は23日に「日本の主権を支持している」と発言していたが、「私の間違いで混乱を招いた」として軌道修正した。
これまで米国は日本の施政権を認めつつ、主権については特定の立場を取らない姿勢を取ってきた。
カービー氏は、尖閣諸島は対日防衛義務を定めた日米安全保障条約5条の適用対象だと改めて表明し、「現状変更を目指すいかなる一方的な行動にも反対する」とも強調した。
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アメリカは日本との講和条約で、日本から沖縄・小笠原の施政権を奪ったが、その時に主権はどうなったのだろうか。
アメリカはサンフランシスコ講和会議で、沖縄と小笠原について日本の“潜在主権”を認めた。その認識に基づいて、アメリカは日本に施政権を返還したのである。
この一連の流れから考えれば、アメリカは日本の“主権”を承認していたことになるのではないか。
それにも拘わらずアメリカは台湾、中国による尖閣侵入事件が発生しても、主権者に代わる施政権者として、領域を不法侵入から守る動きを全く見せず、対応を外交・防衛権を持たない“琉球政府"任せにして放置し、事態が拡大するの座視し続けた。
それに止まらず、日本への施政権返還に際しては、返還の対象に尖閣が含まれることを明言することを避け,それどころか日中の領土問題には“中立”である事を宣言したのである。アメリカが日本の主権に疑義を呈すれば、アメリカの沖縄駐留の根拠が揺らぐのではないのか。
返還後もアメリカは徐々に、尖閣が日米安保条約でアメリカが防衛義務負う領域であると、明言することを避けるようになって行った。そして中国の尖閣に対する侵入・挑発がエスカレートして、日中間の対立が後戻りできないところまで拡大したのを見届けてから、ようやく安保条約の対象である事を明言し、更に現在では繰り返し強調するに至った。今、尖閣の現状は、アメリカの長年の“努力”が実り、アメリカにとって最善の展開になっている。日本にとってはアメリカに頼る以外の選択肢がない。
カービー氏は、おそらく沖縄に大軍を駐留させている、日本の“同盟国”のアメリカが、まさかそのような不誠実(悪質)な態度を取っていたとは想像も出来なかったのだと思われる。しかし、これが“日米同盟”の現実なのだ。
令和3年3月15日 ご意見・ご感想は こちらへ トップへ戻る 目次へ