F118
戦時下の空襲の犠牲者は戦争「被害者」か、それなら「加害者」は誰なのか

 6月16日のNHKのテレビニュースは、「太平洋戦争の民間人被害者『
救済法の成立 絶対に諦めない』」と言うタイトルで、次の様に報じていました。
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太平洋戦争の民間人被害者「
救済法の成立 絶対に諦めない」
2021年6月16日 16時39分 NHK



 太平洋戦争中の
空襲などによる被害者救済するため、超党派の議員連盟がまとめた法案は、国会に提出されないまま16日、会期末を迎えました。
被害者たちは「落胆は計り知れないが、諦めるつもりはない」として、1日も早い成立を目指し、活動を続ける方針を確認しました。



 太平洋戦争中の
空襲や地上戦に巻き込まれた民間人の戦争被害者は、軍人や軍属と違って、国による補償の対象になっていません。

 被害者の
救済に向けて、超党派の国会議員でつくる議員連盟は、ことし3月、けがをして障害や傷痕が残った人などを対象に、1人当たり50万円の「特別給付金」を支給する法案をまとめましたが、国会には提出されないまま、会期末を迎えました。

 16日は、
空襲の被害者などでつくる団体が都内で集会を開き、東京大空襲で母親と2人の弟を亡くした河合節子さん(82)が「一緒に活動してきた仲間が次々に亡くなっていて、この国会で成立させてほしいと、せつに願っていました。先延ばしになったのは、とても残念ですが、絶対に諦めません」と話しました。

 そして「法案実現の現実味が生まれたからこそ、落胆は計り知れないが、これで諦めるつもりはみじんもない」とする、団体の見解が読み上げられ、被害者の高齢化が進む中、1日も早い成立を目指し、活動を続ける方針を確認しました。
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 彼らは「空襲や地上戦に巻き込まれた民間人の戦争被害者」と称していますが、そういう
認識は問題ではないのでしょうか。被害者という言葉を使う以上、当然「加害者」の存在が前提になると思われますが、加害者は一体誰なのでしょうか。
 考えられるのは非戦闘員に対する
大規模無差別爆撃等を命じたアメリカ政府、直接爆撃を行った兵士達であり、どう考えても日本政府ではありません。

 
加害者が特定できるのであれば、請求は加害者に対してされるべきだと思いますが、その請求を日本政府に対してすると言うことは、日本政府を加害者として位置付けているのでしょうか。

 次に記事では
「救済」「補償」「特別給付金」と言う言葉が使われていますが、これらの言葉の混在は、彼らの主張が曖昧・意味不明で、単なる金銭目当てか、そうでなければ目的は“日本断罪”では無いかと言う疑惑が生じてきます。
 もし請求の趣旨が
「救済」であるとすれば、彼らは今全員が「救済」を必要とする状況にあるのでしょうか。それは現行の生活保護その他の各種福祉制度の元での「救済」は不可能なのでしょうか。
 そうでなく
「補償」であるとすれば、交戦下で敵国アメリカによる日本人非戦闘員の大量殺戮を目的とした無差別爆撃下で生じた、日本人非戦闘員の犠牲について、日本政府が「補償(賠償?)」する責任があるのでしょうか。
 同じ「犠牲者」とは言っても、一命を賭して敵と戦った
戦闘員とは立場が違います。

 日米2国間の戦争で、非戦闘員である日本国民が、敵国「アメリカ」の空襲によって受けた損害(犠牲)は
「被害」と呼ぶのがふさわしいものでしょうか。
 非戦闘員といえども決して
第三者ではありません。戦時下の戦争当事国の国民は戦争の当事者です。しかるに、“被害者”と称して、自国政府に金銭の請求をすることは、戦争の当事者・日本国民としての意識が感じられません。国民としてするべき行為か疑問が生じます。

令和3年7月13日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ