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アメリカはなぜ「日米戦争」と言わず、「太平洋戦争」としたのか
4月7日のNHKは、「天皇皇后両陛下 硫黄島を訪問 戦後80年で戦没者を慰霊」と言うタイトルで、次の様に報じていました。
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天皇皇后両陛下 硫黄島を訪問 戦後80年で戦没者を慰霊
2025年4月7日 20時05分 NHK
天皇皇后両陛下は、7日午後、太平洋戦争末期の激戦地、小笠原諸島の硫黄島を訪問し、戦後80年にあたって戦没者を慰霊されました。
両陛下は、羽田空港から政府専用機で移動し、午後0時半ごろ、東京都心からおよそ1200キロ離れた硫黄島に到着されました。
太平洋戦争末期の昭和20年に日米両軍の間で激しい地上戦が行われあわせて2万9000人近くが戦死した硫黄島を天皇皇后が訪れたのは、「戦後50年」を翌年に控えた平成6年の上皇ご夫妻の訪問以来31年ぶりで、両陛下が訪問されたのは初めてです。
おふたりは、海上自衛隊の航空基地で説明を受けたあと、まず島の東部にある旧日本軍の戦没者の慰霊碑を訪ねられました。
そして、守備隊が最後の拠点として戦った壕の上に建てられた慰霊碑に花を供えたあと水をかけて拝礼し、火山島の激戦で飢えと渇きに苦しんだ犠牲者の霊を慰められました。
(以下略)
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「太平洋戦争」とありますが、日本は開戦時から「大東亜戦争」と名付けており、「太平洋戦争」は終戦時にアメリカが日本の「大東亜戦争」を禁止すると共に命名したものです。
太平洋が主戦場ではあったものの、太平洋の領有・占有をめぐって争った戦いではなく、日米2国間の戦争であり、終戦間際の他国の関与は、所詮「勝ち馬に乗る」程度の関与であり、同時期の欧州の戦争との直接の結びつきもありませんでした。名付けるとすれば「日米戦争」の方が戦争の実態を正確に表していると思われ、さらに歴史的な意義・評価を考えれば「大東亜戦争」の方が適切であると言えます。
日本では過去の戦争が「日清戦争」、「日露戦争」と呼ばれており、アメリカの過去の戦争も、スペインとの戦争は「米西戦争(Spanish–American War) 」、フィリピンとの戦争は「米比戦争(Philippine–American War)」と呼ばれてきました( 米西戦争 - Wikipedia )。
それにもかかわらずなぜアメリカは「日米戦争」を避けて、「太平洋戦争」としたのでしょうか。それはアメリカが 日本がこの戦争を「大東亜戦争」と称するのを禁止して「日米戦争」とするには、日本との戦争を正当化する根拠に乏しく、その点に日本国内や米国内、さらに世界で議論が発展することを避ける必要があったからだと思います。
令和7年4月20日 ご意見・ご感想は こちらへ トップへ戻る 目次へ