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日本はオランダにそんなに悪いことをしたか

 2月20日の朝日新聞に、「オランダ―歴史踏まえた友好を」という社説がありました。前半は1600年のリーフデ号以来の、日本とオランダの歴史を回顧するという、まっとうな内容ですが、後半は朝日新聞らしい反日的内容になっています。少し長くなりますが、後半の部分を引用します。

 オランダを旅すると、親日的な人びとが多いことを実感する。だが、オランダとの間には歴史のとげも残っている。
 第二次大戦中に蘭(らん)領東インド(インドネシア)を占領した旧日本軍は、多くのオランダ人を抑留し、労働を強いた。従軍慰安婦問題もある。
 それらの人のうち8人が1994年、日本政府を相手取り、捕虜の人権を定めたハーグ条約などを根拠に、損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。個人に請求資格なしと退けられたが、控訴している。
 日本、オランダ両政府とも、第二次大戦の法的請求権問題はサンフランシスコ講和条約などで解決ずみという立場だ。
 国家間は、それでいいかも知れない。けれども、戦争被害を受けた人たちの心の傷をどういやしていくかという仕事は、まだ終わっていない。
 400周年を機にオランダ側は、日本のインドネシア占領をテーマにした展示を日本で計画した。だが、長崎、広島、大阪各市などで開催を断る動きが相次いだ。
 「妨害が予想される」「展示内容の真偽を確認できない」など理由はさまざまだが、歴史の暗い部分に目を背けていては、未来も曇ってしまいかねない。
 今春には、天皇、皇后両陛下のオランダ訪問が予定されている。400周年を、両国関係にとって歴史に残る節目にしたい。

 日本はオランダに対してそんなに悪いことをしたでしょうか。日本がオランダ本国を占領したというのならともかく、日本が占領したのはオランダが植民地支配していた、インドネシアです。ここでオランダ人はインドネシア人に対して過酷な収奪をしていました。他民族を植民地支配していた彼らに、日本の占領、抑留を非難する資格があるのでしょうか。

 そのオランダは今までインドネシア人に対して一言も謝罪をしたことなどありません。賠償をするどころか、インドネシアの独立を認めるに際しては、60億ドルの補償金をインドネシアに要求しています。

 それなのになぜ、日本人がオランダ人に謝罪しなければならないのでしょうか。オランダがインドネシアを支配したのは350年間ですが、日本がインドネシアのオランダ人を支配したのはたかだか4年間で、人口規模も比較にならないほどわずかです。もしオランダ人が日本に謝罪を要求するのであれば、その前にオランダ人がインドネシア人に謝罪をすべきです。日本人はそのあとで、彼らの100分の1ぐらいの規模と誠意で謝罪をすればいいと思います。

 朝日新聞はオランダ人に同情的ですが、満州で同じように(いや、それ以上に)苛酷な体験を強いられた日本人にはなぜ同情しないのでしょうか。敗戦後、満州にいた日本人女性の多くがソ連兵に陵辱されました。また、捕虜となった60万人の軍人はシベリアの収容所で過酷な労働を強いられ、6万人が命を落としました。朝日新聞は今まで、彼ら、彼女らの受けた「傷が癒される必要」を主張したことがあったでしょうか。日露(日ソ)の歴史の中の、この「暗い部分に目を背けている」のは朝日新聞ではないのでしょうか。

平成12年2月21日   ご意見・ご感想は    こちらへ     トップへ戻る      目次へ