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55年後の「女性国際戦犯法廷」

 昨年12月7日、東京の九段会館で「戦争と女性への暴力 日本ネットワーク」と言う団体の呼びかけにより、「女性国際戦犯法廷」と言うイベントが開かれました。この「法廷」の様子を報じる月刊誌「正論」2月号に掲載された「女性国際戦犯法廷」(桑原聡)と言う記事によると、この被告人も弁護人もいない「法廷」で、日本の「“従軍慰安婦”制度」が裁かれ、「判決」では、「(裁判官のマクドナルド女史は)・・・戦時中の強姦や慰安婦制度は『人道に対する罪』に当たり、・・・日本政府に対しては『被害者への法的責任を認め謝罪、賠償すべきだ』と勧告した」とのことです。

 「従軍慰安婦」は「東京裁判」でも日韓国交正常化交渉でも、全く取り上げられることはありませんでした。戦後50年を経過して、宮沢訪韓にタイミングを合わせるように、日本のマスコミで突然人道上の問題として浮上し、戦争犯罪とされるに至ったことは一体何を意味しているのでしょうか。日本のマスコミが報じるまで、韓国人が「従軍慰安婦」の存在を知らなかった訳ではありません。慰安婦達が口を封じられていた訳でもありません。

 マクドナルド女史はこの点について、「戦時下の性暴力が、長い間裁かれなかったのは国際法の世界が男性に支配されてきたからです・・・」と言っていますが、長い間裁かれなかったのは男性が国際法を支配していたからではなく、裁かれるべきことが何もなかったからです。韓国人の国民性から考えて、もし「“従軍慰安婦”制度」が、言われているような、「レイプセンター」であったならば、韓国人がこの問題を50年間不問にしてきたはずがありません。

 韓国人が戦後50年、反日日本人が騒ぎ出すまで、「従軍慰安婦」の「じ」の字も言わなかったのは、彼らは「従軍慰安婦」が兵隊相手の売春婦であることを知っていたからです。そして、売春婦の中には身売りされたり、女衒に騙されたりしたものが混じっていることも知っていたからです。それは当時の売春婦一般のことで、決して珍しいことではなかったからです。

 「従軍慰安婦」の中には多くの日本人がいたはずです。彼女らも「戦争犯罪」の犠牲者なのでしょうか。それとも日本人は単なる売春婦だったのでしょうか。彼女たちの「証言」はなぜないのでしょうか。平時にもあった公娼制度が戦時に限って、「性奴隷制度」、「戦争犯罪」になるものでしょうか。「女性国際戦犯法廷」が公娼制度や身売りを犯罪として裁こうとするなら、それは現在の欧米の価値観で過去のアジアを裁くという遡及裁判であり、司法の原則に反するものだと思います。

 この「法廷」で、日本有罪の根拠として、韓国人元慰安婦らの「証言」が採用されていますが、何の裏付けもなく、被告人側の反対尋問もない「発言」は「証言」としての証拠能力はないと思います。
 韓国の裁判所では、「被害者」と主張する人の言うことは、無条件に事実として認定されるのでしょうか。決してそんなことはないはずです。韓国人には嘘つきはひとりもいないと言うことが証明されない限り、何の裏付けもない「従軍慰安婦」の「発言」を事実であるとは認定できません。

 日本人が本当に告発し、裁かなければならないのは、終戦間際の満州で日本人女性に暴虐の限りを尽くしたソ連兵です。「戦争と女性への暴力 日本ネットワーク」代表の松井やよりさんは、同胞である日本人女性の受けた陵辱にはなぜ目をつむるのでしょうか。それは彼女たちが日本を告発する動機は、女性の尊厳を守ることとは別の所にあるからだと思います。これは、「従軍慰安婦問題」で、日本を告発する日本人すべてに共通して言えることだと思います

 なお、この「裁判とは似て非なる暗黒裁判」、一方的な日本糾弾のイベントに参加した、マクドナルド女史(前旧ユーゴ国際戦犯法廷裁判長)以下の「裁判官」達は、司法に携わるものとしての最低の良心にも反する行為をなしたと言わざるを得ません。今後、彼女らは国際司法の世界から、追放されるべきだと思います。

平成13年2月25日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ