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皇室と憲法

 5月15日の朝日新聞は社説で、「女性天皇――論議は自然なことだ」と題して次のように言っていました。

 憲法は男女平等を定めている。それに基づき、女性にも選挙権が認められた。女性天皇に反対する根拠は、もはや説得力をもち得なくなっている」

 憲法は第14条で「すべて国民は法の下に平等であって、人種、信条、性別、・・・差別されない」と言っていますが、対象はあくまで国民です。天皇陛下をはじめとする皇族は国民ではありません。憲法の男女平等と皇位の継承は何の関係もありません。もし、皇族を国民に含めるのなら、皇族が存在すること自体が国民の法の下の平等に反し、「憲法違反」になってしまいます。
 それに、今の皇室典範は新憲法と同時に施行されたのですから、憲法の男女平等規定を皇室典範改定の根拠にするのは無理があると思います。

 皇室のあり方を、憲法を引き合いに出して云々すること自体がナンセンスだと思います。なぜなら、皇室とは憲法を超越した存在であるとも言えるからです。憲法は確かに第一章で天皇について規定していますが、それはあくまで皇室の持つ政治的な側面についてのみ規定したものだと思います。しかし、皇室の持つ政治的な役割は、皇室の果たす役割のごく一部に過ぎません。

 皇室はわが国の精神的、文化的な支柱であり、日本国民にとって皇室はいわば「無形文化財」のようにかけがえのないものだと思います。このかけがえのないものは、出来るだけ手を加えることなく、将来の世代に伝えることが望ましいと思います。進駐軍が作った憲法ごときに影響されて、皇室を変質させてしまうと言う愚は避けるべきだと思います。

平成13年5月17日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ