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洗脳された人々

 7月23日の産経新聞は、「参拝は国際条約違反」という見出しで次のように報じていました。

 「小泉純一郎首相が刑死・獄死したA級戦犯が合祀(ごうし)されている靖国神社への参拝を明言していることに関して、22日のテレビ朝日の報道番組で司会者が「(目本の間違いを認めた)サンフランシスコ講和条約という国際条約に違反すると発言し、与党三幹事長のうち保守党の野円毅幹事長が『そうです』とこれを肯定する場面があった。また、自民党の山崎拓幹事長、公明党の冬柴鉄三幹事長は言葉をにごして賛成も反対もしなかった」

 番組の司会者が指摘したのはサンフランシスコ講和条約第11条の、「日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し・・・」と言う部分を指していると思われますが、この講和条約は、言うまでもなく日本が連合国の占領下にあった時に結ばれた条約です。日本国民の自由意志で締結されたものではありません。何を言われてもそれを受け入れざるを得なかった時代のものです。そのような背景のもとに結ばれた条約に抵触するかどうかなどと言うことを問題にしたければ、それは条約に調印した戦勝国がすればいいことで、日本人が自ら言及するのはばかげていると思います。それに、サンフランシスコ講和条約に調印したどこの国の政府も、日本の首相が靖国神社を参拝することは講和条約に違反するとは言っていません。文句を言っているのは中国と韓国ですが、この両国はサンフランシスコ講和条約の調印国ではありません。

 アメリカは1972年、当時のソ連とABM制限条約を結びました。もちろんそれはアメリカの自由意志によるもので、誰に強いられたものでもありません。しかるにアメリカはこの条約が、自らにとって都合の悪いものと感じられるようになると、この条約が「時代遅れである」とか、「過去の遺物である」などと難癖を付け、一方的な廃棄も辞さぬと言う態度を示すようになりました。アメリカの態度は決して褒められたものではありませんが、アメリカ人が自分の立場で考えればこういう主張になるのだと思います。

 靖国神社の参拝がサンフランシスコ講和条約に違反するという主張をした日本人は、到底日本人の立場で考えているとは思えません。彼らの心は相当蝕まれていると考えざるを得ません。

平成13年7月26日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ