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「戦争責任は誰にあると思うか」

 8月14日の朝日新聞は、「首相靖国参拝――これが熟慮の結果か」と言う見出しの社説で、こう言っていました。

 ・・・「戦争責任はだれにあると思うか」と先月の記者会見で尋ねられた首相は、質問に正面から答えなかった。「口」では過去の行為を謝りながら、なぜ責任には触れられないのか。首相の靖国参拝は、この国の政治指導者の、歴史認識をめぐる二重基準を印象づけもした。
 それでこの国が信用されると言えるだろうか。首相が答えなければならない問いは、まことに重い。


 戦争責任とは一体何なのでしょうか。朝日新聞の言う責任とは、一体誰に対するどういう責任なのでしょうか。朝日新聞の記者や社員は、「戦争責任が誰にあると思うか」と言う問いにすぐに答えられるのでしょうか。戦争には、いつも責任がつきものなのでしょうか。責任の所在はいつも明らかなのでしょうか。

 もし、そうであるならば、朝日新聞の記者に答えて貰いたいと思います。第一次世界大戦の戦争責任は誰にあるのか、朝鮮戦争の戦争責任は誰にあるのか、ベトナム戦争の戦争責任は誰にあるのか、悲惨なアフガニスタンの戦争責任は誰にもないのか。

 第二次世界大戦で、日本はアメリカ、イギリス、オランダ、中国、ソ連、オーストラリアなどと戦いました。また、当時はアメリカ、ヨーロッパ諸国の植民地だった、フィリピン、ビルマ、インドネシア、などとも戦争したこととされました。これらの交戦当事国と日本の関係、歴史的経緯は一様ではなく、一口に「戦争責任は誰にあるか」と言われても、答えられるはものではありません。

 例えば、アメリカは「真珠湾の真実」で書かれているように、日本に戦端を開かせるべく挑発を重ねていました。その挑発に乗って日本が宣戦布告しましたが、そのような経緯を考えれば、日本にだけ責任があるとは言えません。
 イギリス、オランダとの戦争はもっぱら両国の植民地における戦争であって、日本がイギリス、オランダ本国に遠征したわけではありません。植民地はもともと武力によって征服した地域ですから、日本が両国の植民地に対して武力を行使し、敗北したからと言って、責任を痛感したり反省したりする必要は何もないと思います。
 ソ連は日本との中立条約を破って日本に宣戦布告したわけですから、日本には何の責任もありません。
 中国における戦争は確かに「侵略戦争」の一面があったことは否定できませんが、それはあくまで一面であって全てではありません。

 このように考えれば、「戦争責任は誰にあると思うか」などと質問されても、一言で答えられないのは当たり前であって、そう言う質問をする方がおかしいのです。
 一国の首相ともあろう者が、このようなくだらない質問に対して答えに窮するようでは困ります。そう言う質問に対しては、「日本に責任があることは否定できないが、日本に全ての責任があったとは認識していない。この問題は、サンフランシスコ講和条約などにより、全て解決済みである」というような答えをすればいいのです。
 小泉首相は、加藤、山崎などを相談相手にせず、もっと有能な人物を顧問なり、アドバイザーに迎えて、自信を持って記者会見に臨んで欲しいと思います。

平成13年8月19日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ