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憲法の僕(しもべ)たち

 海上自衛隊のイージス艦「きりしま」がインド洋に派遣されることになりましたが、朝日新聞や公明党、自民党の野中氏らは、イージス艦の派遣は集団的自衛権の行使を禁じた憲法に抵触すると言って反対していました。

 もともと憲法に「集団的自衛権の行使を禁じる」という明文の条文はなく、「集団的自衛権の行使を禁じる」というのは単なる憲法解釈に過ぎませんが、朝日新聞などの反対論者は、憲法が集団的自衛権の行使を禁じていなければイージス艦の派遣に賛成なのでしょうか。現在の情勢の下で憲法の足かせさえなければ、米軍に最大限の協力をすべきだと思っているのでしょうか。もし、そう思っているのであれば、反対論者は憲法が現実に合わないことを併せて主張すべきだと思いますが、彼らは決してそういう主張はしません。

 我々は主権者であって憲法の僕(しもべ)ではありません。我々の目的は日本国民の安全と繁栄を確保することであって、憲法を守ること自体が目的ではありません。手段と目的を取り違えてはいけません。我々はまず、現在の国際情勢の元で何をなすべきかを考えることが先決です。それが憲法に抵触するかどうかと言うことは二の次の問題です。我々の安全と繁栄を確保するためになすべき事が憲法違反になるならば、憲法を改正すれば済むことです。

 彼らは現在の情勢の下で日本が何をなすべきかと言うことを真剣に考えたのでしょうか。それを考えることなく、憲法に抵触するか否かだけを議論するのは本末転倒という他はありません。現行憲法の枠内でしかものを見ることが出来ない人間は「憲法の僕」と言うべきだと思います。

平成14年12月14日     ご意見・ご感想は こちらへ     トップへ戻る     目次へ