F49
最後の大戦

 4月23日の読売新聞は、「植民地支配『お詫び』」という見出しで、次のように報じていました。
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 「小泉首相は22日午前、アジア・アフリカ会議で演説し、先の大戦を巡る『痛切なる反省と心からのおわびの気持ち』を表明するとともに、日本は今後とも軍事大国にはならないとの決意を強調した」
 「今回の小泉首相の演説内容は1995年の村山首相談話に沿ったもので『わが国はかつて植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた』と過去の歴史を認めた」
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 60年前の戦争で、しかも、各種の条約で法的・外交的な決着がついている問題で、「お詫び」を表明するのは常軌を逸した行動だと思います。小泉首相は歴史上の出来事になりつつある問題をなぜ、自ら進んで蒸し返したのでしょうか。日韓、日中の二国間の問題を国際会議の場で拡散するのは愚行としか言いようがありません。

 植民地支配をお詫びと言ったって、当時の東南アジアはタイ以外はすべて欧米の植民他だったのですから、おわびをすべきは彼らであって日本ではありません。日本が戦った相手はアメリカ、イギリス、オランダなどの欧米諸国です。アジアの人々を相手にした戦争ではありません。小泉首相の歴史認識は根本的に誤っています。過去のアジア・アフリカ会議(AA会議)では、日本が謝罪をしたことはなかったと思います。

 そもそも、人類の歴史は戦争の歴史、「侵略」の歴史であって、戦争には多かれ少なかれ残虐行為を伴ったのが通例です。そして、それらの行為のほとんどは「不問にされ」、歴史の中に埋没していくのが普通です。いつまでたっても、蒸し返されるのは異常なことです。歴史上の出来事の中で、なぜ、第二次世界大戦の敗戦国、日本の行為だけがいつまでも蒸し返されるのでしょうか。

 その理由の一つに、この問題を蒸し返し、外国の干渉を招来し、外圧によって自らの反日理論の破綻を覆い隠し、失業を免れようとする「反日日本人」の存在があげられます。
 今まで総理大臣の靖国神社参拝に反対する人は、政教分離を根拠にしていました。政教分離を口実に靖国神社以外の各地の護国神社などを攻撃していました。しかし、国民の多数は総理大臣の靖国神社参拝を支持したため次第に劣勢となりました。そこで彼らは「A級戦犯合祀」に話をすり替え、中国政府の応援を求めたのです。
 そして、当然これを利用しようとする中国・韓国両国政府の政治的思惑があります。

 そして、もう一つには、日本国民にとって不幸なことに、第二次世界大戦後、第三次世界大戦は起こらず、第二次世界大戦が最後の大戦になってしまったことです。
 第二次世界大戦の22年前、第一次世界大戦がありましたが、第一次世界大戦の「戦争責任」を論じる人は誰もいません。第二次世界大戦の勃発とともに第一次世界大戦は歴史上の出来事になってしまったのです。しかるに、第二次世界大戦はその後に大戦がなかったために、60年経っても未だに歴史上の出来事に成り切らず、折に触れて現代に直接結びつけられて論じられるのだと思います。

平成17年4月23日   ご意見・ご感想は   こちらへ    トップへ戻る   
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