F57
「安倍総理」の資質(小さな譲歩が大きな禍となる)

 8月16日の産経新聞は、「首相靖国参拝 安倍氏苦悩 歯切れ悪く 総裁選 争点化回避狙う」と言う見出しで、次のように報じていました。
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 安倍晋三官房長官は15日、小泉純一郎首相の靖国神社参拝について「首相の一政治家としての判断に政府として見解を述べるべきではない」と慎重な言い回しに終始した。9月の自民党総裁選で「靖国問題を争点化したくない」との判断だが、かつては強硬な参拝支持派として知られてきただけに「次期首相の座が見えてきたとたんに対中、対韓外交を意識した」(閣僚経験者)といぶかしむ声も上がる。・・・

 悩んだ末の結論は「参拝は行動で示し、議論には黙する」だった。首相が8月15日に参拝する公算が高まる中、一緒に参拝することも考えたが、「政治色の強い終戦記念日ではなく、春、秋の例大祭に参拝すべきだ」と見送った。4月15日の参拝はギリギリの選択であり、総裁選でも、靖国をめぐる議論は回避する考えだ。
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 安倍官房長官は4月15日に靖国神社を参拝したものの、例年の8月15日の参拝を見送りました。これは、全く意味のない譲歩だと思います。「政治色の強い終戦記念日ではなく、春、秋の例大祭に参拝すべきだ」というのは、全く理由になっていません。それは8月15日に参拝するなと言う反対論者の言いがかりに屈したのと同じです。

 今からちょうど5年前、小泉首相は8月15日に必ず靖国神社を参拝するという公約を違えて、2日前の8月13日に参拝するという「小さな譲歩」をしました。しかし、これは何の意味もない譲歩でした。むしろ、反日日本人及び中国政府に反靖国キャンペーンと政治的圧力が有効であるという認識を持たせ、その後の執拗なキャンペーンと圧力を招来する結果となりました。

 もし、小泉首相がこのときに小さな譲歩をせず、当初の予定通り8月15日の参拝を断行していたら、その後の展開は違っていたと思います。今頃靖国問題は沈静化していたかもしれません。少なくとも、2日前倒しにすると言う小さな譲歩は何の効果もなかったことは明らかだと思います。

 小泉首相のこの5年間は、靖国参拝に関して日程で譲歩することが無意味であるどころか、有害でしかないことを明白にした5年間であったと言えます。安倍氏はこの小泉首相の経験から何も学ばず、同じ誤りを繰り返そうとしています。
 「対中、対韓外交を意識した」とありますが、「靖国問題」が外交問題ではなく、マスコミの問題、反日日本人の問題だというこの問題の本質が分かっていないのではないのでしょうか。

 安倍氏の方から靖国問題を敢えて自民党総裁選挙の争点にする必要はないかもしれませんが、対立候補者が敢えて争点にしようと論争を挑んできたときは、断固として受けて立たなければならないと思います。小泉首相は記者会見で堂々と、誠意をもって国民に訴え支持を得ました。靖国問題は反日日本人との息の長い戦いの一つに過ぎず、靖国が過ぎればまた次の戦いが待っています。沈黙を守っていれば解決すると考えているとすれば考えが甘いという他はありません。

平成18年8月17日   ご意見ご感想は こちらへ   トップへ戻る    目次へ