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「村山談話」への対応

 安倍元総理、麻生総理とも「村山談話」を安易に引き継いでしまったようですが、この点については、もっと慎重に対応すべきだったと思います。

 そもそも、「談話」などと言うものは法的な拘束力を持たないものです。また、談話などと言うものは、過去に数限りなく発せられているものだと思います。その談話に関して、なぜ、この村山談話に限って、総理大臣が替わるたびに継承を確認するのでしょうか。それは、記者クラブの記者たちがこの談話に限って継承するかどうかを質問するからです。このようなことを繰り返していると、いつの間にかこの談話が他の談話と異なり、格別の重みを持つ、拘束力のある談話に格上げされていく懸念があります。

 今後の総理大臣は、この手の記者の作戦にはまらないように注意することが必要です。「村山談話」を継承するかと問われたら、絶対にその場では「継承する」と言わないことです。その場では、「慎重に検討中である」と言って切り抜けるのが一番です。喫緊の課題ではありませんから即答する必要はありません。反日記者たちの前で言質を取られる形での応答は好ましくありません。そして、可能であれば回答を引き延ばし、総理大臣退任の1日前に、「継承しない」と言えばいいと思います。そうすれば、後の総理大臣が2度と同じ質問に会うことがなくなります。一度断絶した「談話」の効力は継承のしようがありませんから。

 退任するまでの引き延ばしが不可能であれば、総理大臣にとって一番いいタイミングで、一番いい設定でこの問題に答えることが必要です。同志である自民党議員の質問に答える形とか、親日評論家との座談の場で答えるなどの工夫をすべきです。
 それでは、その時になんと言って答えるべきか。「第二次世界大戦は様々な側面があり、我が国の交戦国も多数にわたっており、一言で論じられるものではない。『村山談話』のような短い談話で述べることは適切ではない。先の大戦を巡って様々な議論がなされている中で、自由な議論を妨げる結果となっているのは遺憾であるので、継承はしない」と言うような答えができればベストだと思います。

 それが無理であれば、少なくとも「談話というものは、一般論から言えば後継総理大臣が継承するものであるが、法的な拘束力のあるものではない。今まで数多くの談話が発表されているが、総理大臣が替わる都度、継承の有無を確認・発表していない。その中で、村山談話についてだけ、継承を確認することは、この談話が特別のもの、国家の根本原理であるかのごとく誤解されるおそれがあるので、この談話についての継承の有無についてはお答えしない」と言う回答をして、「村山談話」を過去のものとして、その呪縛を断ち切ることが必要だと思います。

平成20年11月9日   ご意見・ご感想は   こちらへ    トップへ戻る   目次へ