F68
存続する意義を失った長崎原爆記念日

 
8月9日の産経新聞は長崎原爆の日を次のように報じています。
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 長崎は9日、被爆から66年の原爆の日を迎えた。長崎市松山町の平和公園で市主催の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典が営まれ、田上富久市長は平和宣言で、東日本大震災の犠牲者にも哀悼の意を表すとともに、東京電力福島第1原発事故を踏まえ「原子力にかわる再生可能エネルギーの開発を進めることが必要」などと訴えた。
 式典には、原爆投下国の米国から初めてズムワルト首席公使が出席。過去最多の44カ国の代表や、原発事故被災地の福島県いわき市の中学生43人、福島市の瀬戸孝則市長らも参列し、原爆投下時刻の午前11時2分に黙祷(もくとう)。犠牲者の冥福を祈った。インターネット中継も初めて行われた。

 菅直人首相はあいさつで、6日の広島市での式典と同様に今後のエネルギー政策に触れ、「原発への依存度を引き下げ『原発に依存しない社会』を目指していく」と再び「脱原発依存」に言及。福島第1原発事故について「全力をあげて取り組む」と強調した。
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大量殺戮を目的とした核兵器に反対する記念日に、平和利用である原子力発電を同列に並べて批判するのは問題の本質を見誤った議論であると思います。

 又、今回はアメリカ政府の代表が初めて参列しましたが、原爆を投下した
アメリカは未だに原爆投下を謝罪・反省するどころか、原爆投下を正当化し、今後も核兵器の先制使用を辞さないという立場を維持しています。このようなアメリカ政府の代表を、何の抵抗もなく受け入れるというのは、すでに原爆記念日は形骸化し、骨抜き状態であるという証であると思います。

 悲しみと怒りを忘れ、単なる年中行事に堕した記念日は、もはや存続する意義を見失ったと言わざるを得ません。

平成23年8月9日   ご意見ご感想は こちらへ   トップへ戻る    目次へ