F7
堺市教職員厚生会の映画鑑賞妨害行為

 大阪の堺市教職員共済会が、映画「プライド 運命の瞬間」の鑑賞券の斡旋販売を突然中止したことが、産経新聞(6月4日朝刊)によって報じられました。中止した理由は、教職員の一部から「東条元首相のせりふの中に戦争賛美ととれる発言があり、教職員を対象とする厚生会の事業として不適当ではないか」などとする声が寄せられ、理事会で検討した結果「会本来の目的は教職員の福利厚生であり、イデオロギー的にもめることは避けたい」からだそうです。

 映画の登場人物のせりふを戦争賛美ととるか、どうとるかは、鑑賞する人それぞれの自由であると思います(ところで戦争賛美って何でしょう。日本の立場を弁明することは戦争の賛美ではありません。東条英機のせりふが戦争賛美であるとは到底思えません。もし、戦争賛美という言葉が当てはまるものがあるとすれば、それは戦勝国の指導者の言葉ではないでしょうか)。教職員が見るのがふさわしいかどうかは各人が判断することです。ふさわしくないと思ったら見なければいいのです。一つの見方を他人に強要してはいけません。他人が映画を見るのを妨害してはいけません。それはファシストのすることです。このような妨害行為をする者には、言論の自由、表現の自由を語る資格はありません。そういう資格のない人間が教職に就いていることに慄然とせざるを得ません。

 理事会の結論もまやかしです。多様な考えがある以上、ある意味でもめ事はつきものです。もめ事を避けていては何もできません。もめ事をどう解決するかが大事なのです。共済会の目的が福利厚生だからこそ映画の鑑賞券を斡旋販売しているのであって、斡旋を中止することは福利厚生という目的に反することになるはずです。今回のような決定は大声で騒ぐものがいれば、理由もなくそれに屈するという、最低の決定です。

平成10年6月5日     ご意見・ご感想は   こちらへ      トップへ戻る      F目次へ